特集
    2024年 春のおすすめ展覧会 ベスト10 ― 全国版 ― [3月・4月・5月]

    雪舟や空海、福田平八郎らの日本の作家から、現代アーティスト、新たにオープンする豊田市博物館など。3月~5月にはじまる全国のミュージアム・展覧会の中から、アイエム編集部おすすめ10選を厳選してご紹介します。首都圏版はこちらです


    カリスマ・雪舟の伝説に迫る

    先ず紹介するのは、日本美術史を代表する画家のひとり、雪舟。《天橋立図》をはじめ、雪舟の作品のうち6件が国宝に指定されています。雪舟が「画聖」になった過程を明らかにするとともに、30名を超える画家を紹介する「雪舟伝説―『画聖』の誕生―」は、4月13日から。巡回はせず、京都国立博物館のみの開催です。

    京都国立博物館 「雪舟伝説―『画聖』の誕生―」
    京都国立博物館 「雪舟伝説―『画聖』の誕生―」


    空海、生誕1250年を記念

    奈良県では、総力を挙げて空海の生誕1250年を記念した展覧会が開催されます。空海がもたらした密教の国際的なルーツを辿るとともに、マンダラの世界を会場に展開。空海の偉業を顕彰する「空海 KŪKAI ― 密教のルーツとマンダラ世界」は、奈良国立博物館で開催。

    奈良国立博物館「空海 KŪKAI ― 密教のルーツとマンダラ世界」
    奈良国立博物館「空海 KŪKAI ― 密教のルーツとマンダラ世界」


    福田平八郎による豊かな色彩と奇抜な画面構成

    大阪中之島美術館では、「没後50年 福田平八郎展」を開催。障壁画や琳派の画風を研究し、写生を基本としながら形態の単純化していった福田。。豊かな色彩と奇抜な画面構成による独特の装飾表現を志向し、1932年に《漣》 (重要文化財)を発表しました。会場では、日本美術の伝統を継承しながら、近代的な新しい日本画の世界を切り拓いた福田平八郎の画業を紹介します。

    大阪中之島美術館「没後50年 福田平八郎展」
    大阪中之島美術館「没後50年 福田平八郎展」


    豊田市博物館がオープン

    愛知県豊田市では、豊田の歴史や文化、自然、産業などをテーマにした新たな博物館が開館します。設計者は、これまで「大分県立美術館」や広島県の「下瀬美術館」を手掛けてきた建築家・坂茂。歴史資料や豊田市に関連する地質、生息する生物の標本の鑑賞から、ふれあい体験も行うことができます。豊田市博物館のオープンは、2024年4月26日です。


    デザイナー・石岡瑛子の熱量を体感

    広告や舞台美術、衣装デザインなど多岐にわたる分野で世界的に活躍したデザイナー・石岡瑛子(1938- 2012)。キャリア初期における資生堂やセンセーションを巻き起こしたPARCOの代表作をはじめ、アートディレクターとして采配を振るったポスターやCM、グラフィックアートからスケッチまで、約500点を一挙公開。「石岡瑛子 I デザイン」は茨城県立近代美術館で開催です。

    茨城県立近代美術館「石岡瑛子 I デザイン」
    茨城県立近代美術館「石岡瑛子 I デザイン」


    「志野」の人間国宝の世界

    国立工芸館では、志野焼において重要無形文化財保持者(人間国宝)の陶芸家、鈴木藏(1934- )を紹介します。薪窯でしか焼けないとされていた「志野」にガス窯で挑戦し、伝統を大切にしながらも独自の作陶スタイルを確立した鈴木。2024年に卒寿を迎えることを記念して、初期から最新作まで一堂に展示する「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」は3月19日から。

    国立工芸館「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」
    国立工芸館「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」


    遠藤彰子、500号超えの大作

    北海道立近代美術館では、「人間の存在」や「今生きている実感」など普遍的なテーマで作品を描き続けている画家・遠藤彰子(1947-)を紹介。多くのモチーフが画面いっぱいに描かれ、人々やひしめき合う建造物、芽吹き広がる植物や大樹など、エネルギーに満ちた作品世界を構築。最大で約3.3×7.5mにも達する「大作シリーズ」や初期の「楽園シリーズ」はじめ約80作品が並ぶ「遠藤彰子展 生生流転」は4月6日から。

    札幌芸術の森美術館「遠藤彰子展 生生流転」
    札幌芸術の森美術館「遠藤彰子展 生生流転」


    イヴ・ネッツハマーの日本初個展

    スイス現代美術を代表する映像インスタレーション作家、イヴ・ネッツハマー(1970- )。これまでデジタル・アニメーションの無言劇に風変わりなオブジェを掛け合わせた作品を制作してきました。「イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い」では、会場の宇都宮美術館の近く、大谷石採掘場という巨大な地下空洞を宿す街から生まれた大がかりな新作インスタレーションも公開されます。

    宇都宮美術館「イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い」
    宇都宮美術館「イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い」


    1.5メートルもの飾壺を初公開

    岐阜県現代陶芸美術館では、重要無形文化財保持者(人間国宝)の加藤土師萌を紹介。会場では、絶作であり、皇居宮殿に納められた「緑地金襴手飾壺(萌葱金襴手菊文蓋付大飾壺)」の姉妹作を初公開します。圧倒されるほどの大きさ、上品な金襴手の装飾を間近で感じられる「うつわの大中小展」は3月16日からです。

    岐阜県現代陶芸美術館「うつわの大中小展」
    岐阜県現代陶芸美術館「うつわの大中小展」


    岐阜県ゆかりの美術家たち

    岐阜県美術館では、県ゆかりの美術家を紹介するシリーズ企画、「クロスアート4 ビロンギング -新しい居場所と手にしたもの-」開催します。「持ちもの」や「所属」といった意味がある「ビロンギング」。会場では岐阜から異なる境地に属して新たなものを手にし、世界的評価を受けている松山智一や後藤映則ら作家たちを紹介します。

    岐阜県美術館「クロスアート4 ビロンギング -新しい居場所と手にしたもの-」
    岐阜県美術館「クロスアート4 ビロンギング -新しい居場所と手にしたもの-」


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