アフリカンアートにはさまざまな動物が登場します。そしてそれらは大きくニつに分けられます。一つは動物そのもので、もう一つは、いろいろな動物の部位を組み合わせて想像上の精霊のイメージにしたものです。
動物は精霊そのものであったり、またその使者であったり、王家を象徴するシンボルでもありました。西アフリカ、ギニアの民族であるバガの守護神である精霊は蛇であり、ガーナの民族フォンも蛇を精霊としています。ブルキナファソの民族ロビは、我が子が長生きするようにと、カメレオンのペンダントを小さいうちから身に付けさせます。レオパードや象はガーナの民族アシャンティ、ナイジェリアのベニンや、カメルーンのバミレケでは王家のシンボルです。ブルキナファソの民族ボボの神話では、サイチョウが人間よりも先に神から生み出されたといわれています。
もちろんヨーロッパ的なリアリズムの動物彫刻は見当たりませんが、それぞれの動物のイメージを誇張して作られています。
動物の部位を組み合わせたものも、民族によってさまざまな形で表現されていて、中にはどのような動物が起源かわからないものもあります。中国、日本やヨーロッパにも、いろいろな動物の部位を組み合わせた想像上の動物がいます。龍、麒麟や鳳凰などであり、それらは固定化した姿になっていて共通しています。しかし、アフリカのマスクに見られる精霊には、例えば、コートジボワールに住むセヌフォの「カナマト」マスクのように、カバの口、イノシシの牙、アンテロープの角と人の鼻で、頭には器を持ったカメレオンの付いたものがあります。そして、各民族特有の形と名前を持っています。このような奇想天外な形は、数千年の間に造形の天才が何人か現れ、その都度、修正してたどり着いたものであるとも思われます。
今回は、アフリカの、動物をテーマにしたさまざまな美術を紹介します。