永瀬義郎収蔵品展

桜川市（旧西茨城郡北那珂村入野）に生まれた版画家・永瀬義郎（ながせよしろう）氏は、芸術の傍らに生きた人物です。一つの場所での生活を心行くまで楽しみ、また次の土地に。誰に強制されるでも、誰に流されるでもない、――それは永瀬氏自身が自伝の題名に選んだ『放浪貴族』というに相応しい、思う存分に自由な生き方であったように思えます。 　そして、何処に住んでも広い交友関係を持った永瀬氏は、多くの文人との縁によって、幅広い芸術活動を行います。絵画をはじめ、エッセイや詩を発表したり、劇団を立ち上げたり、……それでも、それらの活動の根底には、常に版画がありました。 　そんな永瀬氏が没して、40年近くが経ちました。今回は、妻・照子さんから旧岩瀬町に寄贈された永瀬氏の作品を公開するとともに、その足跡を辿りたいと思います。 　自由であり、優雅でもあった。そんな永瀬義郎氏の人間性に少しでも触れていただければ幸いです。