濱田庄司(1894-1978)の没後40年を記念し、企画展「没後40年 濱田庄司展 ―山本爲三郎コレクションより」を開催いたします。
濱田は大正から昭和にかけて、生活に根ざし、重厚で力強さに満ちた作品を多く生みだしました。生活工芸の道を志し、1913年、東京高等工業学校(現・東京工業大学)窯業科に入学、1916年より京都市陶磁器試験場に入所します。1920年に渡英し3年余り本格的に作陶に挑戦して帰国後、1924年より栃木県芳賀郡益子町に入りました。同年から1928年頃には沖縄にも長期滞在し、作品を残しています。1930年益子の農家を購入して移築、翌年には住居のわきに登窯を築き、以降生涯一貫して益子で制作を続けました。
また、柳宗悦(1889-1961)や河井寬次郎(1890-1966)らと民藝運動を創始、日本の工芸界に多大な影響を与えます。1955年に第1回重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定され、1968年には文化勲章を受章、長年にわたるひたむきな作陶活動が高い評価を受けました。
濱田と、民藝運動の支援者であった、アサヒビール初代社長 山本爲三郎(1893-1966)との出会いは、20代はじめと早く、それから半世紀以上にわたり親交を温めました。
本展では、山本家から当館に寄贈され、開館以来当館所蔵品の軸である山本コレクションを中心に、濱田の初期から晩年までの作品約100点をご紹介し、その陶歴をたどります。
関連イベントでは、土井善晴よしはる氏(料理研究家)に濱田庄司など民藝の先覚者たちについてご講演いただきます。また喫茶室では、「ホテル王」ともよばれた山本爲三郎ゆかりのリーガロイヤルホテルによる特製オリジナルスイーツを会期中限定で提供いたします。
没後40年が経過する現在もなお、濱田の魅力あふれる作品の数々は、私たちを惹きつけてやみません。濱田は「私の陶器の仕事は、京都で道を見つけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った※」と自身の活動を振り返っていますが、本展では、京都市陶磁器試験場時代の貴重な初期の作例や、英国や沖縄での作陶経験の影響がみられるもの、益子へ移住してから手がけられた作品群はもちろん、山本家のくらしを彩ったうつわまで、特徴ある山本爲三郎コレクションより濱田作品を一挙に公開いたします。
※『濱田庄司七十七盌譜』 財団法人日本民芸館、1972年 より