広重が描いた静岡　東海道五十三次を中心に

江戸時代、徳川幕府によって整備か進められた街道のうち、江戸と京都を結ぶ東海道は、参勤交代の大名行列や寺社巡礼の庶民などが往来し賑わいました。特に江戸時代後期、旅が庶民にとってより身近になり、弥次さん喜多さんを主人公とする滑稽本『東海道中膝栗毛』が大ベストセラーとなったり、各地の案内書や街道を描いた版画の出版か相次ぐなと、旅への憧れを一層かき立てました。 そのような中、版元保永堂から刊行された歌川広重(1797-1858)の「東海道五十三次」のシリーズは大人気を博し、広重を浮世絵風景画家の第一人者に押し上げました。この大ヒットを受け、その後も「隷書版」や「行書版」なと、広重の下絵による様々な「東海道五十三次」か出版されています。 本展は、日本最大の観光イベントてあるデスティネーションキャンペーンが静岡で行われることにあわせ、東海道の中ても、53の宿駅のうち22を占める静岡県に注目し、三島、蒲原、掛川などの各所を名物、気候、旅人の様子などを交えつつ広重がどのように描いたかを紹介します。江戸時代の「静岡の旅」を臨場感あふれる画面構成で情緒豊かに表した広重の風景版画の数々をお楽しみくたさい。