特別展は「ヨコハマストーリー」「ヨコスカストーリー」「ジャズの流れる港町」の3章構成です。
昭和20年代の横浜・横須賀の様相と、進駐軍がもたらしたジャズに焦点をあてて、戦後復興の歩みを振り返ります。
第1章「ヨコハマストーリー」終戦3カ月前の横浜大空襲で焼け野原になっていた横浜。進駐軍は市中心部の広い地域を接収、貿易の要である港湾施設も抑えられてしまいます。
禁止されていた民間貿易は、昭和22年になってようやく再開。この時代の輸出品には「Made in Occupied Japan(占領下日本)」のタグが義務付けられ、展示品にも見ることができます。
昭和24年3月~6月に開かれた「日本貿易博覧会」一方の横須賀は、日本海軍の軍港として発展しました。旧日本海軍の施設は進駐軍に接収されたため、戦後も軍に依存せざるを得ませんでした。
商店街も、進駐軍向けに発展。進駐軍兵士にスタジアムジャンパーの修理を依頼され、サービスで施した刺繍が好評だったことから生まれたのが、スカジャンです。
進駐軍のスタジアムジャンパー修理から生まれたスカジャン最後の章は、軽やかな雰囲気。米兵がもたらした文化であるジャズは、港町に数多くのクラブや劇場を生みました。
横浜野毛で長年営業していたジャズ喫茶「ちぐさ」の資料や、日本人ジャズのレベルの高さを本場で見せつけた原信夫さんの衣装や写真など、戦後の日本ジャズの歩みを一望できる展示で締めくくられます。
第3章「ジャズの流れる港町」未曾有の困難からも、明るさを失わずに立ち上がってきた大衆の文化の力。「戦後」の姿は「災後」の我々の眼にも刺激的に映ります。
最後に
神奈川県立歴史博物館についてもご紹介しましょう。
博物館は、1904年に建てられた横浜正金銀行本店本館を活用。建物は国の重要文化財・史跡に指定されています。
2階と3階の総合テーマ展示(常設展)は、古代・中世・近世・近代・現代/民俗の5つのテーマで構成。旧石器時代から東京オリンピックまで、時代順に解説されています。
レトロな雰囲気のカフェ「ともしび」、ショップ、ライブラリーは入館料なしでお楽しみいただけます。(取材:2012年4月24日)