本来は、昨年(2011年)の3月15日~5月29日に企画されていた本展。3月11日の東日本大震災で博物館が被害を受けたために延期され、ほぼ1年後の開催となりました。
会場
増上寺の創建は室町時代。当時は場所も今とは異なり、貝塚(現在の半蔵門・四谷・赤坂あたり)にあったといいます。徳川家康が初めて江戸に入府してきた時も、増上寺は貝塚にありました。
その後、徳川幕府による江戸の整備で芝に移転。徳川家の菩提寺となった増上寺には、幕末までに六人の将軍の墓所が設けられました。
紙本着色法然上人伝
出展資料の中には、重要文化財が2点含まれています。1つ目は「紙本着色法然上人伝」。法然上人の生涯を描いた伝記で、同様の作品はいくつかありますがその中でも最古とされているものです。
宋版・元版・高麗版の大蔵経
もう1点は大蔵経。仏教の経典を集成したもので、国家の重要な寺社に収蔵されています。とりわけ海外から招来されたものは珍重されましたが、増上寺にも中世に渡来した宋版・元版・高麗版が収められています。
徳川秀忠署判浄土宗諸法度
2011年の大河ドラマ「江」でお馴染みの二代将軍徳川秀忠とお江も、増上寺に埋葬されています。秀忠所用と伝えられる具足や、江が持っていたと言われている蓮のつぼみに入った阿弥陀如来像なども出展。幕末のヒロインといえる十四代将軍家茂の正室・和宮関連の資料も多いので、近年の大河ドラマを思い出しながらの観覧も楽しいと思います。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2012年3月26日 ]