オマージュ高畠華宵展

高畠華宵は大正末期から昭和初期にかけて「華宵現象」と呼ばれるほどの人気を得ており、華宵世界はその後も歴史の波に見え隠れしながら現代に至っています。華宵はわかりにくい画家と言われてきました。美しいファッションやブルジョア趣味や武士道の世界に身を置きながら、なおその両性具有性、幻想性、エロス性、耽美性、人工性、孤立性、排他性など多面的な趣向をもつ華宵の美少女美少年たち。その魔力は大正ロマンの持つ一つの力として光彩を保ってきました。本展のために15人の多彩な描法を持つ作家たちが生み出すうたかたの少女像やひたむきな少年像は、華宵芸術の不思議な魅力の謎を解き明かしてくれるでしょう。自然現象の脅威、不透明な政治、抑圧された大衆心理などの危機感あふれるこの現代社会にあって、15人の耽美幻想画家たちは現実の眼を閉じ、内なる心の眼で現実の向こう側にある見えない世界を見つめています。失われた記憶の中、快楽と苦渋が入り混じった反復する時の中で生まれた彼らの作品は、鑑賞者をして、決して消えることのない遠い歴史のうめきと讃歌に耳を傾けさせることでしょう。 高畠華宵大正ロマン館は、今後も大正時代と現代を結ぶ時空を自由に飛び回る美少女美少年たちの「透明で暗い」内面世界をさまざまな企画で発信していきます。