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レポート
浮世を継ぐ者たちへ ― 東京国立博物館「浮世絵現代」(取材レポート)
東京国立博物館 | 東京都
江戸時代から受け継がれてきた木版画の技術に、現代のアーティストが挑戦
漫画、現代美術、グラフィックデザインなどさまざまな分野の約80名が参加
テーマごとに構成された5章でたどる歴史的文脈と革新が交差する展示構成

江戸時代、当時の風俗や社会を色鮮やかに映し出すメディアとして人気を集めた浮世絵。日本独自の木版画技術を駆使し、数々の絵師が個性あふれる作品を世に送り出しました。

その木版画技術と現代アーティストたちの感性が出会うことで生まれた「新しい浮世絵」を紹介する展覧会が、東京国立博物館 表慶館で開催中です。


東京国立博物館「浮世絵現代」会場入口
東京国立博物館「浮世絵現代」会場入口


浮世絵と漫画は、いずれも分業によって生まれる日本独自の印刷文化です。江戸時代の浮世絵制作に見られる省略や誇張の表現は、現代の漫画にもつながる豊かな表現力を育んできました。

第1章「漫画往還」では、漫画家たちが挑んだ「現代の浮世絵」を通して、浮世絵と漫画の構造的・表現的なつながりを紹介しています。


東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第1章「漫画往還」
第1章「漫画往還」

東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第1章「漫画往還」
第1章「漫画往還」


葛飾北斎は、絵師であると同時に、優れたデザイナーでもありました。着物の模様集『北斎模様画譜』をはじめとする彼のデザインは、現代でも高く評価されています。

第2章「北斎賛歌」では、アメリカで発見された北斎の古版木を用いた再摺プロジェクトと、それに触発された現代デザイナーたちの作品を紹介しています。


東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第2章「北斎賛歌」
第2章「北斎賛歌」

東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第2章「北斎賛歌」
第2章「北斎賛歌」


近代以降、木版画の需要が減少する中で、彫師や摺師たちは新たな表現を模索してきました。1970年代から2000年代にかけて、さまざまな職業や国籍の絵師たちが伝統技術と向き合い、新たな浮世絵を創り出す実験を重ねています。

第3章「模索と実験」では、その模索の過程と成果を紹介しています。


東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第3章「模索と実験」
第3章「模索と実験」

東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第3章「模索と実験」
第3章「模索と実験」


「浮世絵」の「浮世」という言葉の本来の意味に立ち返り、現代のアーティストたちが今の時代を映し出す作品を制作しています。

第4章「現代の絵師たち」では、2010年代以降に行われた国際プロジェクトで誕生した「現代の浮世絵」を紹介し、伝統技術と多様な現代の感性との融合を楽しむことができます。


東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第4章「現代の絵師たち」
第4章「現代の絵師たち」

東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第4章「現代の絵師たち」
第4章「現代の絵師たち」


現在、伝統木版画の技術を担う職人の数はごくわずかです。そうした中、1994年に設立されたアダチ伝統木版画技術保存財団は、技術者の育成や現代作品の制作支援を通じて、技術の継承と発展を目指しています。

展覧会最後の第5章「継承と発展」では、財団の30年にわたる活動の一端として、「アダチUKIYOE大賞」の受賞作品などが紹介されています。


東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第5章「継承と発展」
第5章「継承と発展」

東京国立博物館「浮世絵現代」会場より 第5章「継承と発展」
第5章「継承と発展」


木版画という伝統技術が、時代やジャンルを超えてどのように受け継がれ、進化してきたのか。そのダイナミズムを体感できる本展は、浮世絵の過去と未来をつなぐ、貴重な機会となる展覧会です。 [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2025年4月21日 ]

東京国立博物館「浮世絵現代」会場
東京国立博物館「浮世絵現代」会場
会場
東京国立博物館 表慶館
会期
2025年4月22日(Tu)〜6月15日(Su)
会期終了
開館時間
9時30分~17時00分
毎週金・土曜日、5月4日(日・祝)、5日(月・祝)は20時まで開館
(最終入場は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日、5月7日(水)  ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
住所
〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト https://tohaku-edo2025.jp/
料金
一般 1,400円
大学生 700円
70歳以上 400円
展覧会詳細 浮世絵現代 詳細情報
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