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    レポート
    古代エジプト美術の世界展 魔術と神秘 ガンドゥール美術財団の至宝
    渋谷区立松濤美術館 | 東京都
    3つのテーマで読み解く、古代エジプト美術
    世界屈指の古代エジプト美術コレクションを誇る、スイス・ジュネーヴのガンドゥール美術財団。大小の彫刻やヒエログリフの刻まれた石碑、レリーフ、アミュレット(お守り)、宝飾品など、出展される約150点すべてが日本初公開という貴重な展覧会が、渋谷区立松濤美術館で開催中です。
    (右)《ニアンクネストの墳墓から出土した捧げものを運ぶ担ぎ手たちのレリーフ》
    (左から)《2つの記録がのこる墳墓のレリーフ》 / 《墳墓へ副葬品を運ぶ担ぎ手たちを率いる祭儀神官》
    (左から)《書記学校の古代模型 エジプト中王国》 / 《筆記具とトトの化身をもつ書記官の像》 / 《神格化されたイムホテプの像》
    (左から)《聖なるトキの描かれた棺》 / 《トキのミイラにつけられたトキの頭部像》(5つとも)
    (左から)《ネコの像》 / 《ネコのミイラのための棺》
    (一番左)《サソリになった女神イシスの杖の装飾》 / (右手前)《人間の頭部をもつサソリのアミュレット》
    (左から)《壺を抱く2匹のサルの化粧用容器》 / 《ひとつにつながれた鳥の化粧用皿》 / 《混成の女神タウエレトの姿をした女王ティイ(?)のアミュレット》
    (手前)《スフィンクス》
    (左から)《人型の棺の箱部》 / 《マミーボード(ミイラに被せられた木製の蓋)》 / 《ホルエムアケトの人型の棺》 / 《授乳する女王あるいは女神の彫像》
    「ヒエログリフ」(象形文字)「素材」「色」の3つの大きなテーマで、古代エジプト美術を読み解く企画展。まず第1章は「ヒエログリフの魔術」です。

    ヒエログリフは古代エジプト文字のひとつで、6,000を超える記号があります。古代エジプト人が身のまわりで日常的に目にした具体的な対象を表現しており、どの記号も見たままの特徴をとらえてデザインされています。

    エジプト古王朝の識字率は約1%といわれており、ヒエログリフを学校で教わることができるのはエリートの子どもだけでした。会場にはユニークな書記学校の模型も展示されています。


    第1章「ヒエログリフの魔術」

    第2章は「素材の魔術」。古代エジプト美術の作品は石だけでなく、金や銀やブロンズなどの金属、水晶やラピスラズリなどの宝石、そして木製と、多くの素材が使われています。

    巨大な棺は一木造(いちぼくづくり:一本の木材から作る手法)。このような巨木は古代エジプトでは採れないため、遠方との物資がやりとりされていた事が分かります。

    この章には、逆に極めて小さな作品もあります。座る女神、ライオン、カエル、スカラベ(フンコロガシ)、ネコなどは、全て手のひらに収まるほど小さなアミュレット(護符・お守り)。古代エジプトにもあった超絶技巧、お持ちの方はミュージアムスコープ必携です。


    第2章「素材の魔術」

    第3章は「色の魔術」。古代エジプト美術にはさまざまな色が見られますが、言葉は4種類しかありません。緑から青・藍・紫までを含む「ワジ」、赤・オレンジ・黄色は「ジェセール」、白が「ヘジ」、黒が「ケメト」です。

    古代エジプト美術では作品が本来の色と全く違う場合がありますが、これは色彩が象徴的に用いられているため。ただ、色が持つ意味はひとつでは無い事に注意が必要です。例えば、ジェセールは太陽の色=ポジティヴな性質であると同時に、血や砂漠の色として捉えられる場合はネガティヴな意味合いも含んでいます。


    第3章「色の魔術」

    松濤美術館と古代エジプトは、やや意外に思える組み合わせ。大きな椅子がある2階の第2展示室(サロンミューゼ)に、スフィンクスや棺が囲むように並ぶさまは、なかなかユニークです。1Fエレベーターホールには、ファラオの衣装も用意されています。ここで着用すれば記念撮影もOKです。

    本展は全国巡回展で、北海道立旭川美術館福井県立美術館に続いて、松濤美術館が3館目。最後は群馬県立館林美術館となります。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年10月8日 ]

    ©Fondation Gandur pour I’Art, Geneva, Switzerland.


    古代エジプトうんちく図鑑古代エジプトうんちく図鑑

    芝崎 みゆき

    バジリコ
    ¥ 1,728

     
    会場
    会期
    2015年10月6日(火)~11月23日(月)
    会期終了
    開館時間
    特別展期間中:午前10時~午後6時(金曜のみ午後8時まで)
    公募展・小中学生絵画展・サロン展期間中:午前9時~午後5時
    最終入館はいずれも閉館30分前までです。
    休館日
    10月13日(火)、19日(月)、26日(月)、11月2日(月)、4日(水)、9日(月)、16日(月)
    住所
    東京都渋谷区松濤2-14-14
    電話 03-3465-9421
    公式サイト http://www.shoto-museum.jp
    料金
    一般500円(400円)/大学生400円(320円)/高校生・60歳以上250円(200円)/小中学生100円(80円)
    ※( )内は団体10名以上。
    ※毎週金曜日、渋谷区民は無料。(在住がわかる書類をお持ちください)
    ※土・日曜日、祝休日は、小中学生無料。
    ※障がいのある方(付添の方1名)は無料
    展覧会詳細 古代エジプト美術の世界展 魔術と神秘 ガンドゥール美術財団の至宝 詳細情報
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