古今東西の美術品を所蔵しているMet、本展は‘自然’を切り口に構成しました。歴史を通じて、人々の創作活動の源泉になってきた自然。人々は自然をどう捉え、造形的にアプローチしたのか。東京都美術館の企画棟3フロアを会場に、全7章で展観します。
第1章「理想化された自然」
第2章「自然のなかの人々」
第3章「動物たち」
第4章「草花と庭」
第5章「カメラが捉えた自然」
第6章「大地と空」
第7章「水の世界」
第1章「理想化された自然」‘自然’というテーマが大きい事もあって、出展作品は絵画はもちろん彫刻、工芸品、テキスタイル、家具、写真などさまざま。時間軸もメソポタミアから現代美術まで4000年を超える壮大なスケールです。会場には古代エジプトのレリーフ、ヨーロッパ中世の彫像、近世の皿など多彩な作品が並びます。
第2章「自然のなかの人々」第5章「カメラが捉えた自然」では、写真の黎明期に活躍したアーティストから日本人作家の杉本博司さんまで、13点の写真作品が紹介されています。
19世紀に発明された写真。「フォトグラフィ」とは「光によって書くこと」というギリシャ語が由来です。芸術家はこの新しい技術を使って、自然から新しい美を作り出していきました。
第5章「カメラが捉えた自然」メインビジュアルにもなっているゴッホの《糸杉》は、第6章での展示。待望の初来日です。南仏サン=レミの精神病院に入院した直後の1889年6月に描かれました。
ひとめでゴッホと分かるタッチで描かれた糸杉は、天に向かって妖気が上昇しているかのよう。ゴッホはこのモチーフがお気に入りで、糸杉を主題にした作品を3点も描きました。この作品は1890年のパリのアンデパンダン展に出品されたものと見られています。
フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》これだけの規模の展覧会でありながら、珍しく巡回展が無い本展。
東京都美術館だけでの開催となります。
公式カタログには坂本龍一さん作曲のオリジナルイメージ曲CDがついたり(数量限定)、平日の15時から来場するとメットのカラフルな入館バッジがプレゼントされたり(先着500名、11月6日まで)と、楽しいコラボ企画も盛りだくさん。詳しくは公式サイトでご確認ください。(取材:2012年10月5日)