横浜駅東口から5分。原鉄道模型博物館は、この2月に竣工したばかりの横浜三井ビルディング2階にあります。
展示されているのは、世界的に著名な鉄道模型制作・収集家である原信太郎(はらのぶたろう)さんのコレクションです。原さんは小学生の時から一番切符(一番最初に発券された切符)を収集するなど、筋金入りの鉄道マニア。世界中を旅して数多くの鉄道模型を製作・収集し、そのコレクションは特別展覧会などでしばしば公開されていますが、常設の博物館として公開されたのはもちろん初めてです。
博物館の導入は、白い壁面の第一展示室「原模型の真髄」から。原さんが13歳の時に初めて作った鉄道模型など、コレクションの中でも特に選ばれた逸品が展示されています。
第一展示室「原模型の真髄」「語る模型」と名づけられた第二展示室ではヨーロッパ、アメリカ、日本の鉄道模型をテーマごとに展示。展示室の奥では、原さんが自宅に設けている「シャングリ・ラ博物館」(非公開)も紹介されています。
第二展示室「語る模型」第三展示室「ヴィンテージ・コレクション」では、原さんが収集した一番切符のレプリカなどを紹介。
「運輸大臣よりも詳しい」と雑誌に紹介されたり、病欠と偽って一番切符を入手したものの報道でばれてしまったりと、ユニークな武勇伝にも事欠きません。
第三展示室「ヴィンテージ・コレクション」博物館の目玉が、この「いちばんテツモジオラマパーク」です。約310平方メートルの面積は、一番ゲージ(縮尺約1/32、軌間が約45mmの鉄道模型)の室内ジオラマとして世界最大級。原さんが作った鉄道模型も、30分置きにここで走ります。
一般に鉄道模型のレールや車輪には、加工しやすい真鍮が使われることが多い中で、原さんの模型は本物の鉄道と同じように鉄のレールと鉄の車輪を採用。レールと車輪がすれる音や、レールの継ぎ目を通過する音がよりリアルに聞こえてきます。
「いちばんテツモジオラマパーク」を走る、原さん制作の鉄道模型ジオラマはヨーロッパの風景をイメージして作られており、駅舎はフランスのリヨン駅がモチーフ。一日の時間の演出も行われ、夜になると建物の窓には灯がともり、照明をつけた電車が滑るように走っていきます。
「いちばんテツモジオラマパーク」の夜景博物館の館長は、もちろん原信太郎さん。今年93歳になりますが、いまだに鉄道に対する情熱は衰えていません。
伝説的な鉄道マニアがお届けする、究極の鉄道模型博物館。開館は2012年7月10日(火)です。(取材:2012年6月20日)