中世の人々の遊びと社交の場でもあった、花会と茶の湯の会。優れた花瓶や盆、茶の湯の道具を競うように収集し、それを見せ合う場として会が開かれていました。
会場中国・朝鮮半島・東南アジア諸国などから持ち込まれた道具。まず寺院に入り、後に武家や公家のもとに流出する、という流れで広まっていきました。
展覧会には国宝1件、重要文化財9件、重要美術品5件を含む約80件が展示されています。
動画の冒頭でご紹介する《肩衝茶入 銘 松屋》(かたつきちゃいれ めい まつや)も、重要文化財。根津美術館の茶入の中で王者といえる存在で、ずんぐりした愛らしい形が特徴です。
重要文化財《肩衝茶入 銘 松屋》など兵庫の頴川美術館から特別出品されているのが、重要文化財《赤楽茶碗 銘 無一物 長次郎作》。
肉厚で見た目よりもずっしりと重いというこの茶碗は、黒楽茶碗「大黒」とともに、陶工・長次郎が千利休の意を受けて作り上げたという茶碗の代表作です。
重要文化財《赤楽茶碗 銘 無一物 長次郎作》根津美術館の展覧会は、特別展・コレクション展と同時開催されるテーマ展示も魅力です。
今回の展示室5のテーマ展示は「牧谿〈瀟湘八景図巻〉を写す」。宋の水墨画家・牧谿(もっけい)が描いた瀟湘八景図巻(しょうしょうはっけいずかん)の模本を展示しています。
牧谿〈瀟湘八景図巻〉の模本2013年2月に開催されるコレクション展「遠州・不昧の美意識 ─ 名物の茶道具 ─ 」では、本展に続くかたちで、江戸時代の茶の湯の道具が紹介されます。(取材:2012年6月1日)