日本で最も人気のある歴史上の人物のひとり、坂本龍馬の没後150年を記念した展覧会です。
全191点の展示資料のうち72点にのぼる龍馬直筆の手紙を中心に、彼が生きた激動の時代を俯瞰しながら、坂本龍馬の実像に迫ります。
龍馬といえば豪快な人物のイメージがありますが、彼の手紙からは意外な側面が見えてきます。
まず、龍馬は大変筆まめで家族に対する愛情溢れた常識人であったこと。彼は郷里の土佐にいる家族ひとりひとりに宛てて多くの手紙を書いていました。
郷里の土佐を離れ、志を持って江戸に暮らしていたのですが、坂本家の行く末も案じつつ、すぐ上の姉の乙女への手紙には「四十歳までは家に帰らない」と決意を顕にしています。
重要文化財《龍馬書簡 文久三年三月二十日 坂本乙女宛》京都国立博物館蔵
同じく乙女宛の大変有名な手紙では、妻おりょうとの新婚旅行といわれる湯治の旅の様子を伝え、山登りの行程を表したヘタウマ?なイラストを入れてみたりと、お茶目な一面が。
重要文化財《龍馬書簡 慶応二年十二月四日 坂本乙女宛》(部分)京都国立博物館蔵
慶応3年10月9日、大政奉還の直前に書かれた兄坂本権平あての無事を知らせる手紙が親族に宛てた最後の手紙となりました。手紙の下方に墨移りの跡があり、慌ただしい状況にあった龍馬が立ったまま急いで手紙をしたためたと思われます。
親族以外のものに宛てた手紙からは、民衆から選挙で選ばれた議員で構成される下院と貴族による上院でのイギリスを見本とした二院制をしくことを記すなど、龍馬が大政奉還後の日本の在り方を考え、それが現代の日本の基礎となっていることがわかります。
こちらは新政府の財政難への対処として福井の三岡八郎と会い、語り合ったことを伝える手紙。
《龍馬書簡 慶応三年十一月 後藤象二郎宛「越行の記」》
政治家として彼が大局観と冷静な状況判断力、行動力を兼ね備えた人だったことがうかがい知れます。
また、手紙ではありませんが、メモ書きではカステラのレシピを残しています!!
長崎に滞在していたこともあり、カステラが大好きなスイーツ男子だったそうです。
龍馬の遺品である刀も展示されており、銘吉行は暗殺の際に敵刃を受けたとされるもの。刀剣ファンの方も興味深いものではないでしょうか。
《刀 銘吉行 坂本龍馬佩用》京都国立博物館蔵
龍馬の死後、40年後と50年後には早くも龍馬展が開催されたそうです。明治時代から龍馬が日本の歴史上重要な人物であると認識されており人気もあったために、資料が大切に受け継がれ、その後それらをもとに多くの作品に描かれてきたのでしょう。
ところで、この展覧会の音声ガイドは大人気の歌舞伎俳優で、龍馬と意外なご縁のある尾上松也さん。会場には龍馬プリクラならぬ龍馬とのツーショット写真が取れるブースも設置。
ミュージアムグッズも充実していて、龍馬の大好きなカステラもたくさん・・・!
この展覧会を機に、映像作品や小説によってつくられたイメージの坂本龍馬ではなく、人間味溢れる彼の素顔を覗いてみませんか。
エリアレポーターのご紹介
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白川瑞穂
関西在住の会社員です。学生の頃から美術鑑賞が趣味で、関西を中心に、色々なジャンルのミュージアムに出かけています。観た展示を一般人目線でお伝えしていきます。
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