広島市現代美術館は、休館中の活動拠点の1つとして京橋川沿いに建つアパートの1室に「鶴見分室101」を開設しました。
コレクション上映「どこかで?ゲンビ ビデオアート編」第4弾では、田中功起を紹介します。田中は、異なる背景をもつ人々が共に生きることは可能なのか、という極めて根本的な問いを立て、予めある特殊な状況を設定し、参加者たちがそのタスク(課題)に取り組む様子を捉えた作品を多く制作し、国内外で高く評価されています。その田中が過去に手がけた作品を振り返ってみると、特に2000年代半ば頃までは、日用品といった物や、普段の生活における人々の何気ない行為に着目し、そうした物を中心に巻き起こり得る現象や、場合によっては人の介入によって生じる、落ちのない顛末を捉えて作品として発表していました。当時の田中による、物への眼差しや、何気ない行為が示し得る可能性への関心は、あらゆる形態の「共生の可能性」を、作品を通じて考察しようとする、のち(そして今)のアーティストの試みに繋がっていることに気づかされます。
今回は、田中の比較的初期の映像を含む、《each and every》(2003)、《everything is everything》(2005-06、シングル・チャンネル・バージョン)、《ディスカッシング・アンノウン(彼の未来の作品)》(2012)の3点を紹介します。
・アーティスト・トーク(YouTubeにてライブ配信)
日時|2022年3月26日(土) 14:00~16:00
会場|YouTube Live(@hiroshimamoca)
今回展示される3点を起点に、現在の関心や今後の活動などについて作家が語ります。