アンリ マティスは1869年北フランスで生まれ、22才の時パリに出て美術学校で学びました。G.モローの弟子となり、その後セザンヌの影響を強く受け、単純な形体、大胆な色彩の画面構成によりフォーヴィズムを代表する作家と呼ばれました。1911年頃から空間造形の実験、装飾的要素の使用を試みるようになり、1933年アメリカのバーンズ邸の壁画「ダンス」を制作、平面化と単純化を探求して行きます。1943年以降切り紙絵に専念し「ジャズ」を出版。晩年ヴァンスの礼拝堂の設計と装飾を完成しました。最も純粋な意味における色彩画家で、心憎いデッサン力、卓越した構成感覚の持ち主で、多くの業績を残しました。
マティスが残した版画挿絵本の中でも、「ジャズ」は特によく知られた作品で、ステンシルによる色刷り版画20点と、それらに寄せた画家自身の筆記体テクストを含み、マティス77才の時の傑作です。
サーカス、民話、海洋のイメージが、切り紙絵の技法を使って抽象性が高く、鮮やかな色面とくっきりした輪郭を持った表現となっています。