◇V&A所蔵、世界屈指のコレクションが初めて日本で公開!
今回出品される作品は全て、工芸や装飾美術の美術館として世界屈指のコレクションを有し、とりわけイスラム美術の優れたコレクションを所蔵することで知られるロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館の収蔵品です。本展は、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館のイスラム美術ギャラリーが新装されることとなったのを機に、コレクションの中から選りすぐった作品がワシントン・ナショナル・ギャラリーなど4館を巡回する国際展として貸し出されることとなり、実現したものです。日本では世田谷美術館のみの開催となります。これらの中には、高さ705cmの15世紀の木造象嵌細工の説教壇や、組み立てると高さ365cm、幅235cmにもなるタイル製暖炉など、門外不出であった数々の至宝が含まれています。
◇スペインから中央アジアまで東西交流の要、イスラム美術の1200年
世田谷美術館では、これまで「世界四台文明 メソポタミア文明展」(2000年)や、「ヨルダン展」(2004年)といった中東の文明、文化をご紹介する展覧会を開催してきました。(「ヨルダン展」は、イスラム世界以前の中東文化の変遷を辿るものでした。)
今回開催する「イスラム美術展 宮殿とモスクの至宝 ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館所蔵」は、それに続く時代を扱います。本展は、イスラム圏の文化が産み出した、広範で重層的な美術の概観を総合的に紹介していきます。これらは、必ずしも宗教目的に限ったものではなく、宮廷や、非宗教的な目的で制作されたものなどを含みます。
本展に出品される美術品は、陶磁器、絨毯などの織物、金工、象牙細工、ガラス、絵画など多種多様な分野にわたります。また扱う地域も、核となるエジプトやトルコ、イランの他、西はスペインから東は中央アジアの旧ソビエト連邦、コーカサス地方にまでまたがり、時代も8世紀から、19世紀までと、広範な地域及び長い歴史を範疇に収めます。
このような複雑多岐にわたるイスラム美術を、本展では、モスク=聖と宮殿=世俗の両面からとらえ、イスラム世界が古くから東西交流の重要な役割を果たし、他文化を受け入れつつ豊かな発展を遂げてきたことを122点の美術品で紹介します。