富本憲吉のデザイン空間

　奈良の旧家に生を受けた富本は、東京美術学校図案科で建築を学び、ステンドグラスの技法を習得しようとロンドンに留学、帰国後には奈良の自室を改造して、そこから「建築という総合芸術」に帰属するさまざまな斬新なデザインを発信しました。壁面を飾るタイルや版画などのグラフィック・デザイン、壁掛や椅子、照明器具などのインテリア・デザイン。さらに室内を彩る書籍や飲食器など、富本の陶芸作品は、すべてその延長線上にできています。2006年は富本の生誕120年にあたります。それを記念し本展では富本憲吉記念館の特別協力のもと、陶芸家富本憲吉が絶えず模索し続けた理想的生活空間を再現しながら富本芸術を総合的に再考します。