開館30周年記念特別展「聖地・巡礼－自分探しの旅へ－」

　展示の中心は、フランスからスペインの西の端まで全行程1350キロを歩くサンチャゴ・デ・コンポステラ巡礼を記録した映像である。フランス人の巡礼者に同行し、彼の話と解説を聞きながら映像による巡礼の旅が展開する。 　サンチャゴ・デ・コンポステラ巡礼とともに展示されるのは、彫刻家　池田宗弘氏の作成した巡礼絵地図、写真家　野町和嘉氏の巡礼写真、八十八ヶ所の寺を巡る四国巡礼、死者の霊と会うために人びとが訪れる青森県下北半島の霊場恐山、奇跡の場所として19世紀になってから聖地となったフランスのピレネー山脈麓にあるルルドを取材した映像である。それぞれの意味をもつ聖地と人びととのかかわりあい、巡礼することの意味、映像に登場する人びとの話の一つ一つにその意味を考えるヒントがある。 　この展示は、ハイビジョンの大型映像を駆使し、「モノ」、「写真」、「スケッチ」などの異なるメディアを組み合わせ、さらに音声による解説を加えて、聖地と巡礼を体験する新しいスタイルの展示とすることを意図している。