「恐竜をさがせ!!」は、和歌山県内から未発見の恐竜化石発見を目指して、平成13年3月から毎年1回ずつ(平成14年~16年は2回)開催されている恒例の人気行事です。開催の旅に500名を越える参加希望者からの応募があり、その中から抽選で選ばれた約100名の参加者がハンマーを片手に化石探しに挑戦しているのですが、未だに恐竜化石は発見されていません。しかし、10回目の開催となった平成19年3月4日(日)に、これまでの開催では全く発見されていなかった脊椎動物の化石が3点も発見されましたので、展示公開します。
■日本最古のネズミザメ類の歯化石
ネズミザメ目 クレトキシリナ科 プロトラムナ属の一種
学名:Protolamna sp.
白亜紀前期オーテリビアン階(約1億3500万年~1億3200万年前)と推定される地層から発見された化石ですが、これは国内で発見されたネズミザメ類の化石のなかでは最も古いものです。ここまで古い化石は世界的にも珍しく、ネズミザメ類の起源や進化を考える意味でも大変貴重なものであると言えます。
■和歌山では初の発見!
硬鱗魚と呼ばれる原始的な魚類(エナメル質で覆われた硬いウロコを持つ)のウロコの化石
セミオノートゥス目?の一種
学名:Semionotiformes ? gen. et sp. indet.
硬鱗魚とは、エナメル質で覆われた硬いウロコを持つ原始的な魚類のことです(当館で展示中のアリゲーター・ガーはその末裔)。硬鱗魚のウロコの化石は日本各地の中生代の地層から発見されていますが、和歌山県では未発見でした。今回の発見は和歌山初であり貴重な発見と言えます。
■骨片の化石
脊椎動物の骨の化石です。恐竜の骨の破片である可能性もありますが、現在のところ、これがどんな動物のどこの骨の一部なのかを特定するという研究手法は確立されていませんので、これ以上調べる手段がありません。しかし、「恐竜をさがせ!!」で初めて発見された骨化石ですし、重要な標本であることは確かです。
■カメの化石を発見!
平成19年6月30日(土)に、広川町民会館主催の「化石発見探検隊」が、広川町山本の白木海岸(当館が毎年3月に「恐竜をさがせ!!」を開催している場所)にて開催されました。この行事は当館の学芸員が講師を務め、「恐竜をさがせ!!」と同じ内容で進行し、脊椎動物化石の骨や歯の化石発見をめざして開催しました。そのかいあって、参加者の西出光成(みつなり/39歳)・暉(ひかる/8歳(小�3年生))親子がカメの甲羅の一部と推定される化石を発見しました。
白木海岸では、以前にもカメの甲羅片の化石が1点発見されていますので、今回の発見は、それに次いで2例目となりとても重要な発見と言えるものです。
展示中の「地味だけど貴重な発見シリーズ3」と発見場所が同一ですので追加展示させていただきます。