企画展「現代日本画展：宮前秀樹人形浄瑠璃～近松の人々を描く」

　人形浄瑠璃の始まりは、約400年前、江戸時代の慶長・元和（1596～1623）年間といわれています。やがて、新しい文化・芸能が大きく花開いた元禄時代を迎え、この世界にも二人のスターが誕生しました。それが、竹本義太夫と近松門左衛門です。彼らの登場により、人形浄瑠璃は娯楽から芸術へと昇華したといえるでしょう。江戸末期、植村文楽軒の建てた浄瑠璃小屋が、文楽の小屋と呼ばれるようになりました。現在では日本を代表する舞台芸術として、ユネスコの無形文化遺産に登録され、世界的に人気を博しています。 　当館創立者・松岡清次郎は、若い時から義太夫節（浄瑠璃節）に親しむと同時に、歌舞伎や文楽の鑑賞にも余念がありませんでした。そうした中で出会ったのが、宮前秀樹（日本画家・1929～）の文楽人形を描いた作品です。 　宮前秀樹は、命を持たない人形が、浄瑠璃語りと人形遣いの手により「いのち」を得る姿を、鋭い観察力と大胆な構図、繊細な色使いによって描いています。