ヨーロッパ・ポスター芸術の開花　～アール・ヌーヴォーから20世紀初頭まで～

　19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパではポスター文化が花開きます。その原動力となったのは、18世紀末に発明されたリトグラフ（石版画／平版）の技術です。その自在な描写力は印刷の世界に大きな変革をもたらしました。19世紀には絵入り新聞をはじめとする商業的な印刷物において広く普及し、やがて世紀末には、版画や挿絵、そしてポスターなどが、その黄金期を迎えることとなります。 　ポスターは、商品広告やイベントの告知など、日常に密着した身近なものですが、世紀末、とりわけアール・ヌーヴォーをはじめとする芸術運動の中で、高い芸術性を持つ美術作品として認められるようになります。トゥールーズ＝ロートレックやミュシャ、シェレら人気作家たちが活躍し、ポスターは鑑賞や収集の対象ともなっていったのです。 　本展では、ファッションや流行をリードし、人々のあこがれや夢を誘うグラフィック・アートの世界を通して、この時期のヨーロッパの社会や文化、その時代のイメージをお楽しみいただけることでしょう。