大阪市立美術館 「デトロイト美術館展 大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち」
撮影・文 [エリアレポーター]
胤森由梨 / 2016年7月8日
ゴッホやマティスの作品をアメリカの公共美術館として初めて購入した、デトロイト美術館のコレクションの中から、印象派から20世紀フランス絵画に至るまでの選りすぐりの52点の作品を4章立てで展示しています。
フィンセント・ファン・ゴッホ 《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》 1890年 Bequest of Robert H. Tannahill
本展覧会はフランスの近代絵画、とりわけ印象派を代表するセザンヌ、ルノワール、モネ、ドガの作品にはじまり、その発展形態といえる20世紀のドイツとフランスの絵画を展示することで、印象派の展開をみることができます。
ここでは、印象派の展開を章ごとに、作品とともに簡単に紹介していきます。
印象派
クロード・モネ 《グラジオラス》 1876年頃 City of Detroit Purchase
モネやドガ・ルノワールを代表する印象派は戸外での作品制作を重視し、アカデミーの伝統的で保守的な自然主義からの脱却を目指し、画家は目にした光や大気の印象を短い筆致でとらえようとしました。
ポスト印象派
ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山》 1904年—1906年頃 Bequest of Robert H. Tannahill
印象派が一瞬の形態を画面上にとどめようとしたのに対し、ポスト印象派はより普遍的なものを表現しようとしました。例えば、セザンヌは、画家は自然に敬意を払いながらも単純に従うのではなく、それを素材として扱うべきであると考えました。
20世紀のドイツ絵画
ワシリー・カンディンスキー 《白いフォルムのある習作》 1913年 Gift of Mrs. Ferdinand Moeller
20世紀ドイツでも、印象派に端を発する潮流は受け継がれました。ドイツでは、印象派がそうしたようにアカデミーへ反発を見せながらも、造形化しがたいような内的世界が描かれるようになりました。
20世紀のフランス絵画
アンリ・マティス 《窓》 1916年 City of Detroit Purchase
20世紀ドイツ絵画と同じく、古典的な規範を打ち破る新しい表現が志向され、フォーヴィズム、キュビズム、プリミティヴィズム、表現主義、抽象といった新たな潮流が生まれました。
本展覧会では、全ての作品を写真に撮ることができます(一部の作品はSNSをはじめとする不特定多数への公開が禁止されています)。大阪展では、7・8月の火曜、水曜、木曜(祝日を除く)に撮影可能です。
また、夏休み企画として小学生の子供と一緒に楽しむことができるイベントとして、鑑賞ノートづくり(7月9日~8月31日)と親子ミュージアム講座(7月16日、7月18日)が開催されます。
この夏休みにご家族で思い出づくりに行かれてみてはいかがでしょうか。
会場風景
左からギュスターヴ・クールベ《川辺でまどろむ浴女》、ピエール・オーギュスト・ルノワール《肘掛け椅子の女性》、ピエール・オーギュスト・ルノワール《座る浴女》
左からアンリ・マティス《コーヒータイム》、アンリ・マティス《窓》、アンリ・マティス《ケシの花》
エリアレポーターのご紹介
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胤森由梨
美術が大好きな大学院生です。将来は美術鑑賞に関わる仕事がしたいと思っています。現在、instagram「tanemo0417」「artgram1001」でもアート情報を発信中です!
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