跡見玉枝[安政5年(1858)― 昭和18年(1943)]は、跡見学園創立者・跡見花蹊の従妹にあたり、明治期から昭和期に画家として活躍しました。本展覧会では、桜をはじめとする花鳥画を得意とした跡見玉枝の画業を、当館の収蔵作品から紐解きます。
幼い頃に花蹊より絵の手ほどきを受けた玉枝は、長谷川玉峰や望月玉泉に画法を、宮崎(桜戸)玉緒に桜花の描法や種類について学びました。明治11年(1878)には京都女学校及女紅場の図画教員に就任し、画家としてさらに研鑽を積むため、明治19年(1886)に京都から東京へ移り住むと、跡見女学校(本学園の前身)に勤め、共立女子職業学校(現・共立女子学園)や成立学舎女子部でも図画を教授します。
明治42年(1909)には、明治天皇の皇女であった富美宮・ 泰宮両内親王に絵の稽古をつける御用掛へ任命され、以後皇室との交流を深めました。桜の研究に励み、様々な品種を描き 分けたことから、香淳皇后(昭和天皇の皇后)の命を受けて、桜を描いた作品を度々献上しています。
日本画家として高い評価を受けた玉枝は、明治期に画塾「精華会」を設立して女性たちに日本画を教授し、多くの門人たちに慕われました。これまで紹介されることが少なかった精華会やその門人たちにも目を向け、指導者としての玉枝の足跡をたどることも、本展の試みの一つです。
没後80年を記念して当館所蔵の玉枝ならびに師や門人らの作品を一挙にご紹介する、またとない機会を、どうぞお楽しみください。