オランダのユトレヒトに生まれ、現代デザインの礎(いしずえ=基礎)を築いたひとりである家具デザイナーで建築家のヘリット・トーマス・リートフェルト(1888年~1964年)は、オランダで起こった新しい造形主義運動である「デ・ステイル」(※)の影響を受け、赤・青・黄・黒・白などの「色」と、直角と直線が作り出す単純化された「かたち」で、現代につづく新しいデザインの考え方をつくった人物としてよく知られています。
家具職人であった父から受け継いだ伝統的な木工技術を用い、使いやすさ、住みやすさ、心地よさを考え、遊び心とユーモアを取り入れながら作品をつくりました。
一見アバンギャルドに見えながら手作りのぬくもりを感じられる椅子≪赤と青の椅子≫≪ジグザグチェア≫は没後40年を経た今でも生産されつづけ、リートフェルトがデザインしたオランダの≪シュロイダー邸≫は世界遺産に登録されるなど、今もなお世界中の人々から愛されています。
本展では、リートフェルトの代表的な椅子やシュロイダー邸の建築模型を展示し、CG映像などを使ってわかりやすくご紹介します。実際に座ることのできるコーナーやワークショップを設けるなど、リートフェルトの世界をご体感いただけることでしょう。
また同じオランダのユトレヒトに生まれ、リートフェルトから大きな影響を受けたグラフィックデザイナー、ディック・ブルーナの作品も同時展示します。リートフェルトがブルーナに与えた影響を、その作品を通して身近に感じ取っていただけることと思います。
※「デ・ステイル」・・・オランダ語で“様式”の意味。1917年に、ピエト・モンドリアンやテオ・ファン・ドゥースブルフらが中心となり、オランダ・ライデンで創刊された芸術雑誌「デ・ステイル」の名で、同誌を拠点としたグループや、その活動を指す。