20世紀美術を語るとき、ピカソの名前を無視することはできません。1900年、世紀の変わり目に初めてパリにやって来たこのスペインの青年は、それから半世紀以上にわたって旺盛な創造力を世に示し、世界の美術愛好家を魅了してきました。ピカソがブラックとともに創始したキュビスムは、“絵画の革命”としてモダン・アートの原点とされています。生涯を通じて様々な絵画の様式(スタイル)を旺盛に開拓したピカソは、20世紀美術の展開を絶え間なく牽引した画家です。
ポーラ美術館(箱根・仙石原)は、20世紀の巨匠パブロ・ピカソの油彩画16点、水彩画1点、クレヨン画1点、パステル画1点、挿絵本3点の世界的に知られるピカソの秀作を収蔵する国内随一の美術館です。2006年3月18日(土)から9月17日(日)まで、企画展「ピカソ 5つのテーマ」と題して、ピカソ、ブラック、セザンヌの作品を合わせて約50点を公開し、ピカソの創造の源を探ります。
なお、今回の企画展開催にあたり、独立行政法人東京文化財研究所の協力を得て、当館収蔵の「青の時代」の代表作《海辺の母子像》ほか数点をX線写真撮影により科学的に調査しました。調査の結果、《海辺の母子像》の下にまったく異なる別の図像が描かれていることがわかりました。展覧会会場では特設コーナー「隠されたピカソ」を設け、調査の結果を解説します。いまだ謎の多いピカソですが、科学的なアプローチによって画家の隠された一面を垣間見ることができるでしょう。