北畠氏とその時代

その武力で名を馳せた北畠氏は、一方で高い官位を持つ公家でもあり、伊勢の地に武家風、公家風双方が融合した文化を花開かせました。 北畠氏が伊勢支配の拠点とした多気（津市美杉町）は、永らく“幻の中世都市”といわれ、その実態が不明でしたが、近年の北畠氏館跡をはじめとした発掘調査によって、町作りの様子やその高い建築技術が明らかになってきました。 北畠氏が活躍した室町・戦国の世は、現在に直接つながる日本文化や地域関係が育まれた時代です。 三重の骨格もこの時代に形作られたと考えられます。今回の埋蔵文化財展では、北畠氏館跡および多気の発掘調査を中心に、北畠氏がこの地に繰り広げた様々な文化や支配の状況を紹介します。 この展示を通し、三重の地に育まれた豊かな地域文化とそのアイデンティティーを感じていただければと思います。