木之下氏はクラシックの音楽家を中心に40年余にわたって写真撮影を続けています。音楽家の内面を凝視し、彼らが表出する一瞬の動きに集中してシャッターを切る氏の作品は、「音楽が聞こえる」写真として演奏家や音楽ファンからも高く評価されています。
JCIIフォトサロンでは98年11月に、世界で一番多くの音楽家のライブポートレイトを撮影する写真家として「音楽家~世界のマエストロたち~」を開催し、好評を博しています。JCIIフォトサロンで2度目となる今回の展示は、氏にとって通算69回目の写真展にあたりますが、日本人の演奏家だけで構成する展覧会は初めての試みとなります。
今回の作品展では、齋藤秀雄、朝比奈隆などの日本音楽界の巨匠から、小澤征爾、大野和士、大植英次など、世界を舞台に活躍する現役の指揮者たち、安川加寿子、内田光子らピアニスト、巌本真理、諏訪根自子、五嶋みどりらヴァイオリニスト、東敦子、林康子、渡辺葉子ら歌手など、木之下氏みずからがセレクトされた、故人・現役の日本の音楽家たち約80名が演奏中に音との戯れと緊張の狭間に示す表情を捉えた作品、約80点(全作品モノクロ写真)を展示いたします。
モノクロームの映像は、それを見る私たちの想像力をかきたて、演奏家たちの特徴ある一瞬を捉えた作品からは、彼らの奏でる音楽を感じ取ることが出来るでしょう。