「生誕百年　斎藤清展」

　福島県会津坂下町出身の斎藤清（1907－1997）は近代日本を代表する版画家のひとりです。幼い頃北海道に移り住んだ斎藤は絵画の道にひかれ、1931（昭和6）年24歳の時に上京。デザインの仕事をするかたわら、独学で絵画や版画を学び、独自の造形感覚を磨きました。1951（昭和26）年にはサンパウロ・ビエンナーレで駒井哲郎と共に在サンパウロ日本人賞を受賞。国際展における日本人初の受賞として大きな注目を集めます。斎藤はその後もルガノ国際版画ビエンナーレ、リュブリアナ国際版画ビエンナーレなどに出品や受賞を重ねるとともに、国内外で数多くの個展を開催し、世界的に高い評価を受けました。 　斎藤清の作品は、日本の伝統的な美しさや異国の風景、風物を斬新な造形感覚で捉えた木版画をはじめ、変化に富んだ質感と自由な形態表現が魅力的なコラグラフ、繊細でしなやかな線で人物を表したドライポイント、自由闊達な描線と柔らかな墨の色合いが印象的な水墨画など、ひとつの枠にとどまることのない広がりを見せています。 　生誕100周年を記念するこの展覧会では、サンパウロ・ビエンナーレ受賞作である≪凝視（花）≫や、京都・奈良・長年住んでいた鎌倉など＜古都＞に取材した作品群、ライフワークの＜会津の冬＞シリーズといった代表作を中心に、コラグラフ、ドライポイント、水墨画、素描も含む155点の作品によって、初期から最晩年にいたるまでの斎藤清の制作を一堂にご紹介いたします。