国立エルミタージュ美術館所蔵　エカテリーナ2世の四大ディナーセット

　女帝エカテリーナ2世（1729-1796）が活躍した18世紀のロシア宮廷では、国家行事として盛大な晩餐会が催されました。各国の貴賓が集う晩餐会は、国家威信と文化的成熟度を国内外に誇示する絶好の機会となり、饗される料理はもちろんのこと、テーブルセッティングや室内装飾、列席者の衣装に至るまで当時の最高の豪奢と洗練によって彩られたのです。 　軍事的勝利や国家や王族の記念日などの慶事に併せて、マイセンやセーヴルなどヨーロッパ各地の名窯で制作された数々のテーブルウェアは、ロシアの財力と権勢を示すとともに、卓上で外交上のメッセージを巧みに演出しました。また、テーブルに並ぶ豪華なセルヴィスは「エルミタージュ・エチケット」と呼ばれた女帝の厳格にして壮麗な宮廷生活を、また、白磁の白く滑らかな輝きは優雅で詩的な女帝の私生活を物語ます。