企画展・Ⅳ「総集編―絵画の技術」

絵画の技術は描画材料の性質と結びついています。例えば、水彩画の「たらしこみ」は、初めに塗った色が乾かないうちに別の色をたらしこみ、水の動きで色が混ざる現象を利用した技法です。クレパス画の「スクラッチ技法」は、色を塗り重ねて削り出すクレパス独特の技法です。油絵では、不透明な絵具層の上に透明な絵具層を塗り重ねて深みのある色合いを表現する「グレージング技法」が、油絵具の透明性と不透明性の性質を利用しています。 こうした技法は、その描画材料だからこそできる、あるいは効果を発揮する技法です。使い慣れた描画材料も、その特性を理解し、長所を最大限生かすことで、驚くほど違った表情を見せてくれます。 本展では、年間テーマ「絵画の技術」の総集編として、絵を描く楽しさを味わいながら、上手に描くためのコツや表現に適した画材道具などを紹介しています。水彩絵具、クレパス、油絵具の特性を生かした絵画技法とその効果的な使い方を紹介するために、それぞれの技法を使って制作した見本資料と、制作に使用した画材道具を展示しています。様々な技法の魅力を感じて、ご自身が制作される際の参考としていただければ幸いです。