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    レポート
    特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」
    東京国立博物館 | 東京都
    圧巻の巨大観音
    滋賀県甲賀市にある櫟野寺(らくやじ)。最澄ゆかりのこの古刹には、重要文化財に指定される平安時代の仏像20体が伝わります。20体すべてを寺外で公開する初めての展覧会が、東京国立博物館で開催中です。
    (手前)重要文化財《十一面観音菩薩坐像》
    重要文化財《十一面観音菩薩坐像》
    重要文化財《毘沙門天立像》
    (左から)重要文化財《十一面観音菩薩立像》 / 重要文化財《観音菩薩立像》 / 重要文化財《観音菩薩立像》 / 重要文化財《観音菩薩立像》
    (右手前)重要文化財《薬師如来坐像》
    (左手前)重要文化財《地蔵菩薩坐像》
    (左から)重要文化財《吉祥天立像》 / 重要文化財《吉祥天立像》 / 重要文化財《地蔵菩薩立像》 / 重要文化財《十一面観音菩薩立像》
    国宝・重要文化財の数が全国4位の滋賀県。優れた仏像が各所に残っていますが、中でも櫟野寺は重要文化財の平安仏を20体も所蔵しており、平安彫刻の宝庫として特筆される存在です。

    櫟野寺は33年に一度、大開帳が行われており、次の大開帳(2018年)に向けて本堂と文化財収蔵庫(宝物殿)の改修が決定。この機に、20体すべてが初めて寺外で公開される事になりました。

    会場に入ると、中央に鎮座しているのが本尊の《十一面観音菩薩坐像》です。像高は3.12m、台座と光背を入れた総高は5.31mと、圧倒的な大きさ。重要文化財の坐像としては日本最大です(国宝の坐像はありません)。

    巨大な像ですが、頭から胴までを1本の木から掘り出した一木造(いちぼくづくり)。お寺では厨子に入っているため正面からしか見られませんが、会場では360度まわっての鑑賞が可能。身体の厚みや、頭上の11面まで、じっくりとお楽しみいただけます。


    重要文化財《十一面観音菩薩坐像》

    本尊の大きさに目を奪われますが、その後ろで展示されている《薬師如来坐像》も像高2.22mの大作です。2mを超える大きな座像が2体出展される展覧会というのも、かなり貴重な機会といえます。

    人々の病気平癒や延命長寿をつかさどる薬師如来は、左手の薬壺が目印。穏やかな表現はいわゆる定朝様(じょうちょうよう)で、仏師・定朝が確立したスタイルです。


    重要文化財《薬師如来坐像》

    他にも、怒りの表情ながら親しみやすさも感じる《毘沙門天立像》、像内の銘文から文治3年(1187)に造られた事が分かる《地蔵菩薩坐像》、11体出展されている《観音菩薩立像》などがずらり。会場の本館特別5室は厳かな雰囲気に包まれています。

    展示されている仏像を良く見ると、顔つきやプロポーションの類似性を感じますが、これは「甲賀様式」とされるスタイル。その特徴は公式図録に詳しく解説されていますので、興味がある方はぜひご覧ください。


    会場

    展覧会の開催を記念して、みうらじゅん氏といとうせいこう氏による「櫟(ラク)」普及委員会も発足、オリジナルグッズも制作されました。「フェリシモおてらぶ」とのコラボグッズや、展覧会特別バージョンのご朱印も特設ショップで販売されています。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年9月12日 ]

    ※展示作品はすべて滋賀・櫟野寺蔵



    ■平安の秘仏 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年9月13日(火)~2017年1月9日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日 (ただし、9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館、9月20日(火)、10月11日(火)は休館)
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://hibutsu2016.com/
    料金
    一般1000円(900円)、大学生700円(600円)、高校生400円(300円)
    中学生以下無料
    * ( )内は前売り・20名以上の団体料金
    * 障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
    展覧会詳細 特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」 詳細情報
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