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    レポート
    南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎
    サントリー美術館 | 東京都
    南蛮美術の傑作、両屏風が一堂に
    16世紀半ばから17世紀初頭にかけて、ポルトガルやスペインから来航した南蛮船。分蔵されている南蛮美術の傑作「泰西王侯騎馬図屏風」が一堂に会し、サントリー美術館で展示されています。
    会場
    目玉の泰西王侯騎馬図屏風。写真手前は神戸市立博物館蔵、奥がサントリー美術館蔵。
    重要文化財 泰西王侯騎馬図屏風 左隻 四曲一双 桃山時代~江戸時代初期 17世紀 サントリー美術館蔵
    重要文化財 泰西王侯騎馬図屏風 右隻 四曲一双 桃山時代~江戸時代初期 17世紀 サントリー美術館蔵
    重要文化財 泰西王侯騎馬図屏風 四曲一隻 桃山時代~江戸時代初期 17世紀 神戸市立博物館蔵
    サントリー美術館蔵の泰西王侯騎馬図屏風を近赤外線透過したもの
    右上に「金」の文字が見える。金箔を押す場所の「指示書き」と見られている。
    重要文化財 聖フランシスコ・ザヴィエル像 一面 江戸時代初期 17世紀初期 神戸市立博物館蔵◇あまりにも有名なザヴィエル像
    会場
    神戸市立博物館サントリー美術館が分蔵する「泰西王侯騎馬図屏風」。一見すると西洋絵画に見紛うような表現ながら、油彩ではなく墨や岩絵具といった日本画の材料を用いて描かれている不思議な魅力の絵画です。もとは福島・会津城の障壁画であったと伝えられていますが、戊辰戦争による開城の後に行方が二手に分かれて、両館が所有するに至りました。

    図柄は西洋の王、計8名が騎馬に乗った勇壮なもの。戦国の世で武家の心を掴んだと思われますが、誰が何のために描いたのかなど、詳しいことは分かっていません。

    泰西王侯騎馬図屏風

    ふたつの屏風が一堂で展示されるのは、東京では25年ぶりのことです。今回は東京都文化財研究所の協力により、最新の技術を用いた光学調査も行われました。

    調査の結果、金地の下から「金」という指示書きの文字が見つかったほか、神戸市立博物館本とサントリー美術館本とでは金箔の厚さや純度に違いが見つかるなど、様々な新事実も判明しています。

    会場

    本展は7章構成で、屏風以外にも同時代の南蛮漆器、南蛮屏風なども一堂に集め、宣教師と南蛮人がもたらした華麗な美術品の数々を紹介しています。

    西洋の技法を身につけた日本人による美術品や、流行だった南蛮趣味を取り入れた工芸品など、南蛮からの影響は多方面に広まりましたが、後にキリスト教の禁止にともない姿を消していくことになります。第1章には南蛮船の上で日本人と南蛮人が双六(今のバックギャモン)をしている朗らかな図柄の屏風がある一方、第5章には火あぶりにされる信者を描いた凄惨な殉教図も。大きな時代のうねりが胸に迫ります。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年10月25日 ]

    TOKYO美術館2012-2013


    エイ出版社
    ¥ 998

     
    会場
    会期
    2011年10月26日(水)~12月4日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    休館日
    毎週火曜日、年末年始、展示替期間
    住所
    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
    電話 03-3479-8600
    公式サイト http://suntory.jp/SMA/
    展覧会詳細 「南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎」 詳細情報
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