愛楽園からウクライナ戦争を考える―開催にあたって―
沖縄戦時、愛楽園は空爆や艦砲射撃で壊滅状態になりました。しかし、園に隔離収容された人々は逃げ出すこともできませんでした。隔離の中で沖縄戦を経験した愛楽園が、今も続く戦時下で権威によって構造的に排除され、見えなくされる人々の孤立に思いを馳せる場になればと願っています。
ロマ民族が直面する「分離」と「孤立」
「ウクライナから戦火を逃れたロマの難民が避難先の国で差別を受けている」。そんな報道に触れたのは2022年3月のことだ。同年6・7月、私はロマの人々の状況を知るべく、チェコ、モルドバ、ウクライナを訪れた。ロマ難民の支援を続けるある女性が話す。「当初からロマは、避難地域のホテルやアパートの居住を断られ、結果として駅構内に数百を超える子供、女性が溢れました。そして、政府は駅から彼女たちを排除し、バスに乗せ、別の地域に送りました。権力を持つ人たちの好きか、嫌いかによって、彼女たちはモノのように動かされたのです」。
過去より積み上げられてきた偏見と差別、戦争の長期化による社会の不安定化、その怒りは理不尽な暴力として弱い立場の人々に向けられる。私たちは、ウクライナ戦争の何を見て、何を見ていないのか。ロシア軍の侵攻から1年が経過した今、戦争が顕在化させる差別と暴力を見つめる。
写真家・ジャーナリスト 小原一真