作家の現在－吉澤美香　／　絵画の力－今日の絵画

絵画は、作家のスリリングな志向と想像力を受け止め、視覚のあり方を問うだけではなく、人間の根源的な創作活動に対して常に独自の可能性を有しており、今日なお作家に様々なインスピレーションを与えていると思われます。 　本展は近年新しく収蔵された絵画作品を中心に構成され、さらに新たな絵画のあり方を示唆する映像作品を含め、絵画の可能性に挑む若い作家の作品もとりあげています。コレクションされた作家と作品の持つ意味を検証するとともに、これからの絵画のあるべき姿を模索し、考察することが本展を企画した目的です。 　また同時開催される「作家の現在－吉澤美香　絵画とドローイングのあいだに」は、1997年に当館において個展を開催した吉澤美香の現況を紹介する企画です。色彩や形態、線描が生み出すイメージ、あるいはそうしたものの総体としての絵画にまつわる重力のくびきから軽やかに逸脱していく吉澤の作品は、だからこそ絵画のあり方に鋭い視点を投げかけています。本展は、当館に収蔵されている90年代の代表作を含め、近年の作品と最新作を通して、吉澤の最新の動向を紹介いたします。 　この二つの企画展は、それぞれ独自の企画として構成されていますが、≪今日における絵画≫という共通した視点から成り立ち、連動する企画展としてもご覧いただける内容となっています。