『ハイジ』は児童文学を原作に、「子どもたちのために良心的な作品を」と企画され、若き演出家・高畑勲と彼を支えたスタッフたちの仕事によって成功した作品です。
高畑はこの作品を映像化するにあたり、登場人物たちの生活を、アニメーションでしかできない表現でリアリティを持って、丁寧に描くということを考えました。そして若き作り手たちは、良質な作品を生み出すため情熱を持って困難な仕事に挑戦し、全52話のTVシリーズを作り上げたのです。
展示では、スタッフの1人であった宮崎駿が当時を振り返って描きおこしたパネルや解説のほか、貴重なロケハン資料を紹介し、ハイジの山小屋の暮らしを再現して、それまでのTVアニメーションではありえなかった"日常の暮らし"がどのように描かれたのかを知ることができます。
この企画展示では、放送から30年以上たった今でも、世界中のファンから愛されている『ハイジ』の魅力の源泉に迫ります。作り手全員が、見る人の心に訴えることができる作品になるよう、新しいことに挑戦し過酷な労働に耐えながらも、幸せな仕事をしていた様子が伝わってきます。