カミーユ・クローデル

　カミーユとロダンが深い関係を築いていた時期、二人は創作の重要な部分も対等に共有していました。カミーユは、動的なポーズや誇張による激しいエネルギーの表現、肉感的な肉付けなどをロダンから学び、ロダンは親密な愛の表現を彼女から受け取っています。しだいにカミーユは、名声を確立する年上のロダンから離れて、独自の世界を作ろうとします。そこには、彼女が幼少から親しんできた文学的な主題や、最初の師に学んだ端正な写実表現、そして自伝的要素を時には赤裸々なまでにさらけ出す、物語性の強い表現が見られます。また、世紀末パリを席巻したアール・ヌーヴォーの波にも、彼女は確かに触れています。 　本展は、日本で3回目、10年ぶりの回顧展となります。彼女の代表的な彫刻作品約50点をはじめ、デッサン、手紙、写真などの資料、また師であるブーシェ、ロダンがカミーユをモデルとした作品を加え、この異彩の天才彫刻家が独自に作り上げようとした劇的かつ繊細な世界を紹介するものです。 　夏休みにあたる開催時期となった府中会場では、関連のレクチャーやコンサート、ワークショップの開催や、カフェでの特別メニューなど、展覧会とともに楽しめる企画をたくさん準備しています。会期中は無休ですので、夏のひとときを過ごしに、いらしていただきたいと思っております。