IM
レポート
6人の巨匠が投げかける“未来への問い” ─ 企画展「デザインの先生」(レポート)
21_21 DESIGN SIGHT | 東京都
ブルーノ・ムナーリら巨匠6名を「デザインの先生」とし思想を辿る展覧会
代表作や記録映像などを資料を通して“考え・つくり・伝える”姿勢に迫る
日本のデザイン学に連なる系譜も照らし、未来の社会に向けての問いを提示

時に社会にさまざまな影響を与えてきたデザイナーたち。ブルーノ・ムナーリやマックス・ビルら6名を「デザインの先生」として、デザインが提示してきた多様な視点に迫る展覧会が、21_21 DESIGN SIGHTで開催中です。

残された言葉や代表作、記録映像をもとに、彼らがどのように“考え、つくり、伝えよう”としてきたのかを読み解いていきます。


21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場入口
21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場入口


早速、6名の「先生」を、順にご紹介していきましょう。

まずは、ブルーノ・ムナーリ(イタリア生まれ、1907–1998)から。若くして芸術運動「未来派」と出会い、その思想を独自に展開しました。

「役に立つ/立たない」という常識を鵜呑みにせず、批評的な眼差しで問い直し続けていったムナーリ。子どもの創造力を引き出す「ムナーリ・メソッド」は、今も世界各地で教育法として広まっています。


21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より ブルーノ・ムナーリ 展示風景
ブルーノ・ムナーリ 展示風景

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より ブルーノ・ムナーリ 展示風景
ブルーノ・ムナーリ 展示風景


続いて、アキッレ・カスティリオーニ(イタリア生まれ、1918-2002)。ミラノのスタジオには、彼の「プロジェッタツィオーネ」(計画・設計)の原点となった道具やオブジェが今も残されています。

ときに奇抜な形に見えることもあるカスティリオーニのデザインですが、常に理にかなった理由が存在します。並外れた観察力から発見へ、そして形へというプロセスこそが、カスティリオーニのデザインの核心です。


21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より アキッレ・カスティリオーニ 展示風景
アキッレ・カスティリオーニ 展示風景

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より アキッレ・カスティリオーニ 展示風景
アキッレ・カスティリオーニ 展示風景


エンツォ・マーリ(イタリア生まれ、1932-2020)は、「これは生か死かの問題だ!」と叫ぶほどデザインを真剣に語ったマエストロ。物資が乏しい時代、限られた素材を工夫してものをつくる経験が、彼の創造の原点でした。

生涯で2,000点を超える革新的なプロジェクトを生み出す一方で、ものの「表面」ではなく、その背後にある試行錯誤や思想こそ見てほしいと訴え続けました。


21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より エンツォ・マーリ 展示風景
エンツォ・マーリ 展示風景

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より エンツォ・マーリ 展示風景
エンツォ・マーリ 展示風景


マックス・ビル(スイス生まれ、1908-1994)は、建築家、芸術家、教育者など多彩な顔を持ち、バウハウスでパウル・クレーやワシリー・カンディンスキーらに師事しました。戦後、ウルム造形大学の設立に携わり、初代学長を務めるなど、教育にも尽力しました。

「手工業も工業製品も、美しさも機能を持つ」というプロダクトフォルムの考え方は、「vom Löffel bis zur Stadt(スプーンから都市計画に至るまで)」という言葉にも示されています。


21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より マックス・ビル 展示風景
マックス・ビル 展示風景

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より マックス・ビル 展示風景
マックス・ビル 展示風景


オトル・アイヒャー(ドイツ生まれ、1922-1991)は、1972年のミュンヘン・オリンピックのデザイン統括や、フランクフルト国際空港の視覚誘導システムなど、20世紀のデザイン史に不朽の功績を残したグラフィックデザイナーです。

民主的な社会の理想を追求し、ウルム造形大学の設立にも尽力しました。


21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より オトル・アイヒャー 展示風景
オトル・アイヒャー 展示風景

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より オトル・アイヒャー 展示風景
オトル・アイヒャー 展示風景


ディーター・ラムス(ドイツ生まれ、1932-)は、ドイツの工業デザインを牽引し続けてきたデザイナー。1955年にブラウン社に入社し、建築家としての視点から、製品を空間を構成する要素と考え、環境との調和を模索しました。

彼が地球環境への問題意識から導き出した「良いデザインの10ケ条」は、フィジカルとバーチャルが混在する現代においても、デザインの本質を問いかけます。


21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より ディーター・ラムス 展示風景
ディーター・ラムス 展示風景

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」会場より ディーター・ラムス 展示風景
ディーター・ラムス 展示風景


他に展覧会では、マックス・ビルやオトル・アイヒャーに学び、後に生涯にわたって親交を深め、日本におけるデザイン学の礎を築いた向井周太郎(1932–2024)にも触れています。

激動の時代を生きた彼らの揺るぎない信念と視点に触れ、デザインが持つ本来の力を改めて感じることができる展覧会です。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2025年11月20日 ]

会場
21_21 DESIGN SIGHT
会期
2025年11月21日(Fr)〜2026年3月8日(Su)
もうすぐ終了[あと5日]
開館時間
10:00 - 19:00(入場は18:30まで)
休館日
火曜日、年末年始(12月27日 - 1月3日)
住所
〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
電話 03-3475-2121
公式サイト https://www.2121designsight.jp/
料金
一般1,600 円、大学生800 円、高校生 500 円、中学生以下無料
* 各種割引についてはご利用案内をご覧ください
展覧会詳細 企画展「デザインの先生」 詳細情報
おすすめレポート
ニュース
ご招待券プレゼント
学芸員募集
展覧会ランキング
おすすめコンテンツ