本館の春季特別展覧会は、日本各地の美術館・博物館等が収蔵する優れた美術作品を紹介することを目的とし、八代市民が国内外の名品にふれる貴重な機会を提供しています。令和5年度の春季特別展覧会は、熊本出身の日本画家・堅山南風(1887-1980)の作品を紹介します。
堅山南風は、明治20年(1887)、熊本市坪井立町出身の日本画家。大正2年(1913)、南風26歳の時、第7回文展に出品した「霜月頃」(熊本県立美術館所蔵)が2等賞(1等なし)を受賞、横山大観から激賞されたことがきっかけで一躍有名となりました。以降横山大観に師事して日本美術院に所属、独自の筆致による優れた作品を数多く残しました。昭和33年(1958)に日本芸術院会員となり、昭和43年(1968)に文化勲章受章。昭和55年(1980)、急性肺炎のため静岡県のアトリエで急逝しました。
これまで堅山南風と八代との関係が紹介されることはほとんどありませんでした。しかしながら、南風は旧八代城主松井家の13代当主明之(はるゆき)と交流があり、松井家には南風の作品や書簡が伝来します。また南風は、松井家の菩提寺である春光寺の前住職澤田清宗を俳句の師と仰ぎ、春光寺には70余通に及ぶ南風自筆の書簡が伝来、南風の人柄や美意識を伝える貴重な資料であることがわかりました。
本展覧会では、熊本県内外の美術館・博物館が所蔵する南風の代表作に加え、八代ゆかりの作品や書簡を紹介、郷土熊本が誇る日本画家・堅山南風の人と作品の魅力を「八代」という新たな視点で紐解きます。