橋本関雪(1883~1945)は、近世の伝統を受け継ぎながら近代性を取り入れて、独自の文雅で壮大な芸術世界を完成させた巨匠です。本展は関雪の生誕140周年を記念し、白沙村荘 橋本関雪記念館・嵯峨嵐山文華館と共同で開催する特別な機会となります。
神戸に生まれた関雪は、儒者の父、海関の薫陶を受けて、漢籍詩文を学ぶと共に画筆にも親しみました。四条派の画法を修めた闊達な筆さばきと、中国の古典への深い理解と愛着に裏打ちされた彼の芸術は早熟な才能を示し、若くして画名を知られました。
さらに、数十回に及んだ中国・欧州への旅の経験、旺盛な蒐集の意欲などをも自らの力に変えて前進を続けた関雪は、和漢の故事に材を取った歴史画から、詩書画一致を目指した山水や風景、生彩にあふれた花鳥画、鮮麗な美人画など、他の多くの画家のようにひとつのジャンルに留まらず、縦横に筆を揮って傑作を世に送り、戦前の京都画壇を代表する存在となったのです。
本展は、関雪が生涯で最も長い時間を過ごした京都で、その歩みを、その到達点を、《木蘭》(白沙村荘 橋本関雪記念館)をはじめとする数々の名画を追いながら、ご紹介いたします。
その会場の様子をマンガでお届けします!
フワフワの体毛や輝く瞳を描いた猿の絵は特に美しい。