びちゃ
ユトリロ人気は健在で平日にもかかわらず入場者はそこそこ多かったが、年配の人の割合が高かったかな?と思う。国内のギャラリーや美術館からの展示も多かったが、白の時代の作品が結構あったのは良かった。ユトリロは白の時代とその後では魅力が変わってしまう。白の時代は壁のマチエールが魅力的で、木々の早いタッチや点描的な塗り方など、実物を見たときの感動がある。もともと構図にはあまり魅力を感じないので、マチエールとタッチが最大のポイントだと思う。
色彩の時代は明るい色が多くなり、画面の明度は上がるが、マチエールやタッチに魅力がなくなる。画面から感じる不安や暗さ、苦悩がユトリロ白の時代の魅力なので、それがなくなると、今ひとつに感じる。
佐伯や荻須などへ影響を与えているので、好きな芸術家ではあるが、好きな作品は時代によって異なる。
ポンピドゥーセンターからの作品数は期待ほど多くなく、質も最高とは言えず、かえって、八木ファインアートの質と量を改めて実感させられた展覧会だった。