特別展「古代エジプト文明3000年の世界」展

　人種、宗教、思想、政治体制などの“違い”つまり異質性によって起こるさまざまな出来事は、現在の私たちの文化・生活に大きな影を落としています。しかし、人類の歴史を振り返ると、決して異質性ばかりではなく、さまざまなものに共通性、同質性を感じることが多いのです。古代からの伝統文化・精神文化の中に人類の共通性を再発見し、それぞれの歴史の同質性と異質性を正しく捉え、認め合うことの大切さを広く啓発することは博物館の重要な使命と考えます。 　今回、私たちがとりあげた古代エジプト文明は、日本人にとって魅力のあるテーマの一つです。日本文化とは全く異なり、その造形物が持つ異質性や神秘性は大方の目を釘付けにします。悠に3000年を越える古代エジプト文明とは、どのような特徴をもち、どのような文化であったのでしょうか。 　展覧会では、これを理解するキーワードとして、『死』と『再生（豊穣）』、『神』と『王権』を挙げました。そして、日本に収蔵されている古代エジプト文明の優品を選りすぐり、この4つのテーマのもとに再構成し、歴史的な流れを背景として、わかりやすく多角的な展示を試みます。 　また、古代文明が栄えたエジプトは、今はイスラム文化の世界にあります。現代エジプトのコーナーを補い、展示全体を通して古代エジプトの時代から連綿と引き継がれている人々の生活と精神文化を感じてもらえるように心がけました。 　そして、『五感で楽しむ古代エジプト』をテーマに子供から大人まで楽しめる教育普及活動を展開します。 　さあ！古代エジプト文明3000年の旅を始めましょう。