暮らしを彩る　女性伝統工芸士の世界

　「優れた使い手がいてこそ、優れた作り手が生まれる」がごとく、衣食住を取りまく生活用品（着物、帯、食器、家具など）の多くは女性が使ってきており、日本の伝統工芸品は、暮らしのなかから発想される生活者としての創意工夫と手技の伝承によっても発展してきました。 　その担い手となる伝統工芸士は、現在、神奈川県では405名（国認定383名、県認定22名）おり、このうち、約13％にあたる54名が女性伝統工芸士として活躍しています。 　長い間「男社会」ともいわれてきた伝統工芸の世界にあって、九谷焼、加賀友禅、輪島塗、山中漆器、牛首紬、加賀繭、和紙、加賀毛針などの創作は、魅力あふれる「女性の美の匠」の世界を築きあげています。作品には、女性ならではの豊かな感性に根づいた技と心が息づき、形、文様、色彩にみられる繊細さ、優雅さ、しとやかさは観る人、使う人の心を引きつけてやみません。 　この展示会を通して、工芸品が私たちの生活により身近なものとしてとけ込み、伝統工芸の世界に新しい風を吹き込むよう期待しております。