10年以上に渡る研究開発によって感光材料工場を建設しました。同時に感光材料部門を新会社として独立させることを決定し、翌1934(昭和9)年に「富士写真フイルム株式会社」が誕生しました。当初は乾板および映画用フィルムを製造していましたが、1934(昭和11)年に写真用ロールフィルム「富士クローム」「富士ネオクローム」を発売しました。以降も現在に至るまで「ネオパン」、「フジカラー」、「フジクローム」、「フジブロ」、インスタント写真システム「フォトラマ」などの各種感光材料を発売してきました。
写真感光材料を製造する一方で、同社はスチルカメラ製造にも進出し、1948(昭和23)年に最初のスチルカメラ「フジカシックスIA」、「フジカシックスIB」を送り出します。以降も二眼レフカメラ「フジカフレックスオートマット」や「芽生えカメラ」として多くの児童に親しまれた「フジペット」シリーズ、主に営業写真館を主眼とした中判カメラ「G シリーズ」や、オートフォーカス(自動焦点)コンパクトカメラのカルディアシリーズ、「レンズ付フィルム」という新しい形態で発売され、その後の写真市場に大きな影響を与えた「写ルンです」シリーズなどプロカメラマンからファミリーフォトまで幅広い使用者に向けた機種を多数送り出しました。
1965(昭和40)年には、それまでの8ミリムービーフィルムの規格を変更して画面サイズを拡大し、同時にマガジン方式を採用してフィルム装填を容易にした8ミリムービーシステム「シングル8」を提唱しました。また1988(昭和63)年には、デジタル方式で画像記録を行う電子カメラ「デジタルカメラ」の実用化にいち早く成功し、翌年には世界で初めて「デジタルカメラ」の市販を行うなど、今日のデジタルカメラ隆盛の先鞭を付け、幅広い分野を通して常に新しい写真と映像の楽しみ方を追求し続けてきました。
今回の特別展では、富士写真フイルム株式会社およびグループ各社の協力を得まして、カメラの歴代主要製品を展示するほか、試作品、モックアップなど貴重な資料を展示・紹介いたします。