資生堂アートハウスは1978年静岡県掛川市に開館し、本年で30年を迎えました。以来、地域における貴重な美術館として、これまでに70回を越える展覧会を開催して参りました。
これらの展覧会は資生堂が企業の所蔵する美術品の公共性を認識し、アートハウスでの展示を通じて無料で公開することで地域の文化に貢献すると共に、多くの方々に芸術と共にある喜びを感じていただくことを願って継続してきたものです。
今回の記念展では、長年アートハウスを支えてくださった皆様への感謝を込めて、これまでの展覧会でお客様から好評を博した作品をできる限り多く取り上げながら、資生堂が1947年から継続的に開催している「椿会美術展」(第一次から第四次)と、「現代工藝展」(1975-1995)への出品作から、前期、後期の会期を通じて、日本画、洋画、彫刻、現代美術(平面と立体)、工芸(陶芸・漆芸・金工・竹工芸・ガラス工芸)をあわせて約130点を展覧いたします。これまでに無い規模で資生堂の美術品コレクションを鑑賞していただけるまたとない機会となります。
企業がお客様とのより良き関係を培っていくうえで何ができるのか、30年にわたる美術品の公開はそのような問いかけへの資生堂の一つ回答でした。「コレクションは人なり」といわれますが、企業のコレクションもそれと同じく企業の顔を表します。商品とは別の形で資生堂の美意識を体現するものです。今回の展覧会が皆様により深く資生堂を理解していただくための一助となり、企業とお客様との幸福な関係を築いていくための縁(よすが)となれば幸いです。