国内外のミュージシャンを捉えた人物写真や風景写真で幅広い人気を持つ写真家、ハービー・山口が撮影した作品約150点による大規模な個展です。
ハービー・山口は、1950年、東京都に生まれ、大学卒業後、1973年より約10年間をロンドンで過ごしました。そこで撮影したミュージック・シーンを中心とする生きたロンドンの写真が高く評価され、写真集『LONDON』(1985年、流行通信社)の出版によって、写真家としての名声を確固たるものとします。帰国後も日本とヨーロッパを往復し、山崎まさよし、福山雅治等、国内のミュージシャンとコラボレーションをする一方、常に市井の人々にカメラを向け、「希望」をテーマに撮影を続けています。その優しく清楚な作品を好むファンは多く、2011年度、日本写真協会賞作家賞を受賞。エッセイ執筆、作詞、ラジオやテレビのパーソナリティなど、多彩な活動でも人気を得ており、現在も精力的に活躍している写真家です。
本展は2部構成になっており、第1部「JAPAN」では、東日本大震災後に被災地を訪れて撮影した『HOPE 311』シリーズをはじめ、1970年代、戦後の転換期における日本の日常を捉えた初期作品『1970年、二十歳の憧憬』シリーズや、1996年に解体される直前の同潤会代官山アパートに集う人々を撮影した『代官山17番地』シリーズなど、どんな時代にあっても希望を持って生きる日本人の姿と表情を捉えた作品を展示します。第2部「EUROPE」では、パンクとニューウェイブ・ムーブメントのまっただ中にあったロンドンの若者たちを写した初期の代表作『LONDON』シリーズをはじめ、1989年ベルリンの壁崩壊直後の東欧で撮影した『1989年、東欧、真冬に咲いた花』シリーズなど多彩な作品を展示し、人と社会への温かい眼差しが感じられるその作品世界を紹介します。
何気ない日常のなかにある人々や街の姿を、優しいトーンのモノクロームで残した写真作品の数々から、現在人々が求めている、希望とともに未来へ向かうポジティブなイメージ[HIKARI]に満ちた空間を作り上げる展覧会です。