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    レポート
    色を見る、色を楽しむ。 ─ ルドンの『夢想』、マティスの『ジャズ』…
    アーティゾン美術館 | 東京都
    色がテーマのコレクション展
    絵の具を自分で作った時代、白と黒のルドン、鮮やかなマティス…。ブリヂストン美術館の豊富なコレクション、今回は「色」をテーマに巡ります。
    マティスの挿絵本『ジャズ』の版画20点が並ぶ
    ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《若い女の頭部》
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》(左)
    会場
    エドゥアール・マネ《自画像》(右)
    クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》(右)
    近年新たにブリヂストン美術館のコレクションに加わった、ルドンのリトグラフ集『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの想い出に)』
    会場入口
    左から、ザオ・ウーキー《07.06.85》、ザオ・ウーキー《10.03.76》 ©Zao Wou-ki
    色が切り口の本展、会場には色に関連する楽しいエピソードが紹介されています。

    会場冒頭は、印象派以前の時代から。現在の感覚からすると不思議に思えますが、17世紀の画家は絵を描く前に、まず絵の具を作る必要がありました。

    色の材料は、時代によって異なります。例えば、レンブラントが描いたこの絵には、黄色に鉛と錫を化合した「レッド・チンイエロー」が使われていますが、この黄色はこの時代特有のもの。アングルが活躍する時代には、使われなくなりました。


    レンブラント・ファン・レイン《聖書あるいは物語に取材した夜の情景》と、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《若い女の頭部》

    印象派の展示では、青色の影についてご紹介。ブリヂストン美術館の看板娘、ジョルジェット・シャルパンティエ嬢は、よく見ると暗部が青い線で描かれている事が分かります。「影は黒」と思われていた時代、このような印象派の表現は強く批判されました。

    ただ、明るい絵の具を大胆に使った印象派は「黒をパレットから追い出した」といわれますが、実は印象派の作品には黒い服の人物がよく登場します。これは当時のファッションの流行から。黒や灰色のシルクハットや燕尾服など、モノトーンが好まれた時代だったのです。


    ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》、エドガー・ドガ《レオポール・ルヴェールの肖像》

    白と黒の幻想的な作品で知られる、オディロン・ルドン。近年、ブリヂストン美術館のコレクションにリトグラフ集『夢想』が加わりました。副題のアルマン・クラヴォーは、若き日のルドンが出会った植物学者で、ルドンの作風に大きな影響を与えた人物です。


    ルドンのリトグラフ集『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの想い出に)』など

    本展の最大の見どころは、カラフルなマティスの挿絵本『ジャズ』。版画20点が一堂に揃う展示室9はとても華やかです。切り紙絵の原画をカラー印刷した作品で、マティスは印刷の再現性にこだわり、切り紙絵で使われているのと同じグワッシュを使ったステンシルで印刷しました。

    目玉作品の前で、本展担当学芸員の賀川恭子さんに見どころをお話しいただきました。


    ブリヂストン美術館学芸員の賀川恭子さん

     

    第10室では、本年4月に92歳で死去したザオ・ウーキー氏の追悼展も開かれています。

    色彩を空間に解き放つような作品で知られるザオ・ウーキー氏。1994年に第6回高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)を受賞するなど、国際的にも高い評価を得ていました。ブリヂストン美術館では2004年に「ザオ・ウーキー展」を開催し、現在では18作品を所蔵しています。

    追悼展では厳選した9作品を紹介。人気が高い《07.06.85》も展示されていて、この絵の前で瞑想するようにじっと絵を見つめるお客様がよくいらっしゃるそうです。


    「追悼 ザオ・ウーキー」の会場 ©Zao Wou-ki

    この作品の青色は、どうも印刷物やウェブでは伝わりません。眩さと重さが混在しているような青色で、凝視すると目の裏側に焼きつくような気がしてきます。ぜひ会場でご確認ください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年6月26日 ]

    アンリ・マティス ジャズ

    Katrin Wiethege (原著), 長門 佐季 (翻訳), カトリン ヴィーテゲ

    岩波書店
    ¥ 2,940

     
    会場
    会期
    2013年6月22日(土)~9月18日(水)
    会期終了
    開館時間
    10:00-18:00
    (祝日を除く毎週金曜日は20:00まで)

    【日時指定予約制】
    入館までの待ち時間の緩和、より快適な鑑賞環境をご提供するために、1日を以下の入館時間枠に区切り、その時間枠内にご入館頂きます。
    ①10:00-11:30  
    ②12:00-13:30  
    ③14:00-15:30 
    ④16:00-17:30
    ⑤金曜日のみ 18:00-19:30(ただし祝日を除く)

    ※指定した時間枠内であれば、いつでもご入館頂けます。
    ※入館後は閉館まで時間制限なくご鑑賞頂けます。入替制ではありません。
    ※各時間枠の開始時刻直後は混雑が予想され、入館をお待ち頂く場合があります。
    休館日
    月曜日休館(月曜日が祝休日の場合は開館)
    住所
    東京都中央区京橋1-10-1
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://www.bridgestone-museum.gr.jp
    料金
    一般 800(600)円/シニア(65歳以上) 600(500)円/大学・高校生 500(400)円
    ※中学生以下無料
    ※()内は15名以上の団体料金
    ※シニアの方、学生の方は証明書が必要です。
    ※障害者手帳をお持ちの方とご同伴者2名様まで半額となります
    展覧会詳細 色を見る、色を楽しむ。 ─ ルドンの『夢想』、マティスの『ジャズ』… 詳細情報
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