昨年8月から7カ月間の改修工事を経て、姫路市立美術館がリニューアルオープン。
その記念として、今や世界中の人々が魅了されるチームラボの展覧会が始まりました。
上下とも《世界は暗闇から生まれるが、それでもやさしくうつくしい》/2018年
薄暗い展示部屋。「雨」「鳥」「虹」などの漢字が天井から流れ落ちてきます。
その漢字に近づくと、その文字自体がもつ世界が出現します。
例えば、文字が「花」なら、白やピンク色の花が一面に表れます。
隣に偶然居合わせた鑑賞者が文字「蝶」に近づくと、壁に蝶が表れ、先ほどの花の周りを舞います。
自分の行動が作品に反映される不思議さと、他人の行動が影響し合う面白さを感じ、時間を忘れて文字を追いかけてしまいます。
目の前の風景(映像)は、この瞬間だけのもので、そこには儚さや尊さも存在します。
《Black Waves : 埋もれ失いそして生まれる》/2019年
違う部屋には、波の作品がありました。四方を波に囲まれているように見えます。
映像に映る波は、一筆書きのように全て繋がっていると教えてもらいました。
実際の景色を取り込んだのではなく、水の動きをシミュレーションし、立体的に描いた線の集合を映像化しているそうです。
美術館内にいることは重々承知しているものの、海の中に佇んでいるようで、すこし肌寒く、怖さすら感じます。
《永遠の今の中で連続する生と死、コントロールできないけれども、共に生きる》/2019年
今展では、4作品が展示されています。
どの作品をみても、自分自身が映像に溶けていくような感覚になります。
相手はコンピューターが創り出した映像なのに…反発心?抵抗したくなってきます。
非現実に呑み込まれていく感覚に戸惑っているのでしょうか。
そんな自分が可笑しくもあります。色んな感情が体に巻き付き、ふんわり浮いているようです。
私が作品に混じり合っていくだけではありません。
会場の出入口は1つになっていて、4作品を観終えるとUターンすることになります。
作品を見直すというより、海、山、雨…と自然の中を歩き続けているような気持になりました。
作品と作品、現実と非現実…。境界が薄れ、時空の中を1人彷徨っている、そんな気分です。
美術館を出て、ハッとします。
太陽のまぶしさ、木々の青を敏感に感じ、生きている世界は美しいと喜ぶ自分に気づいたからです。
現実にいながら非現実を味わっているのか、新しい世界へ舞い込んだのか、チームラボは、私が知らなかったスイッチを押してくれたようです。
エリアレポーターのご紹介
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カワタユカリ
美術館、ギャラリーと飛び回っています。感覚人間なので、直感でふらーと展覧会をみていますが、塵も積もれば山となると思えるようなおもしろい視点で感想をお伝えしていきたいです。どうぞお付き合いお願いいたします。
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