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    レポート
    水の音 ─ 広重から千住博まで ─
    山種美術館 | 東京都
    地下に広がる涼やかな水音
    うだるような暑さが続きますが、山種美術館では猛暑にぴったりの涼やかな企画展を開催中。「水の音」をテーマに川、海、滝、雨を描いた所蔵品をご紹介します。
    (左から)牛尾武《晨響(銀河と流星の滝)》 / 大山忠作《瀧》 / 横山操《滝》 / 奥村土牛《那智》
    (左から)横山大観《龍》 / 横山大観《夏の海》
    (左から)山本丘人《流転之詩》 / 宮廻正明《水花火(螺)》
    橋本関雪《生々流転》
    奥田元宋《奥入瀬(秋)》
    (左奥から)千住博《フォーリングカラーズ》 / 千住博《ウォーターフォール》
    (左手前から)歌川広重(初代)《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》(展示は8/24まで) / 歌川広重(初代)《近江八景之内唐崎夜雨》(展示は8/17まで) ※会期中、浮世絵など一部作品の展示替を行います
    (左から)結城素明《夏渓浴雨》 / 川合玉堂《水声雨声》 / 竹内栖鳳《雨霽》
    (左から)奥村土牛《雨趣》 / 横山操《越路十景のうち親不知夜雨》
    昨今のゲリラ豪雨は行き過ぎですが、古来四方を海に囲まれ、水資源に恵まれた美しい自然を育んできた日本。豊かな水の景観は画家の創作意欲を刺激し、水を主題にしたさまざまな絵画が描かれてきました。

    近世から現代までの画家による水の情景を描いた作品を紹介する本展。会場は奥村土牛の《鳴門》から始まります。

    揺れる船から落ちないように、奥様が後ろから着物の帯を持って支えながら鳴門の海をスケッチした土牛のエピソードは、写生を大切にしたこの人らしいエピソードとして伝わります。


    会場入口から

    続いてご紹介したいのは、会場右奥にある六曲二双、横幅15mにも及ぶ巨大な屏風。橋本関雪による《生々流転》です。

    館蔵品ですが、あまりにも大きすぎるという事もあって山種美術館で展示されるのは実に22年ぶり。現在の地に移転してからは初めての展示となります(他館で展示された事はあります)。

    昭和15年に完成した建仁寺方丈の襖絵と同趣の主題。荒れ狂う海原を大きな筆さばきで描きました。緻密な動物画でよく知られる関雪の、ちょっと意外な作品です。


    橋本関雪《生々流転》

    展覧会は4章構成です

     第1章 波のイメージ
     第2章 滝のダイナミズム
     第3章 きらめく水面
     第4章 雨の情景

    「滝のダイナミズム」で紹介されている岩橋英遠《懸泉》は、富士山麓の白糸の滝を描いた作品。岩橋英遠は人物を加えて滝を実景より大きく描き、壮大な風景を強調しています。


    岩橋英遠《懸泉》

    そして滝といえば、やはり千住博。本展出展作家では最多の6点が紹介されています(滝ではない絵もあります)。

    上から下に絵具を流して滝を描く手法は、千住博のトレードマーク。遠目には神々しいほどの威厳と静謐さを感じさせますが、近くでは意外なほどエネルギッシュな絵具の跡が見てとれます。


    千住博の作品

    「きらめく水面」では、山元春挙《火口の水》が印象に残ります。春挙は円山応挙から連なる円山四条派の流れを汲む画家ですが、早い時期から写真撮影も行い、自らの作品に活かしていました。

    緑が映り込む美しい水面に、2頭の鹿。この絵も鹿を小さく描く事で、景観を雄大に見せています。


    山元春挙《火口の水》

    テーマが「水」ではなく「水の音」なのがポイント。まさに地下の展示室には、涼やかな水の音が広がってきそうな作品ばかりです。この時期恒例のゆかた割引も実施中。大人なら1,000円が200円引きの800円でお楽しみいただけます(着物でもOKです)。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年7月22日 ]

    ※会期中、一部展示替を行います。

    わたしが芸術について語るなら

    千住博 (著)

    ポプラ社
    ¥ 1,188


    ■水の音 広重から千住博まで に関するツイート


     
    会場
    会期
    2014年7月19日(土)~9月15日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館16:30まで)
    ※特別展の開館時間は変更になることもあります。
    休館日
    月曜日(但し、7/21, 9/15は開館、7/22は休館)
    住所
    東京都渋谷区広尾3-12-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.yamatane-museum.jp/
    料金
    一般1000円(800円)・大高生800円(700)円・中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金および前売料金。
    ※障がい者手帳、被爆者手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料。
    [お得な割引サービス]
    リピーター割引:本展使用済入場券(有料)のご提出で、会期中入館料が団体割引料金となります 。
    (1名様 1枚につき 1回限り有効)

    ゆかた割引:会期中、ゆかた(または着物)でご来館のお客様は、団体割引料金となります。
    ※ 複数の割引の併用はできません。
    展覧会詳細 「水の音―広重から千住博まで―」 詳細情報
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