第1展示室で開催中の本展、会場は3章構成です。
「松竹梅を愛でる」は、絵画に描かれた松竹梅。四季花鳥図には松が描かれたものが少なくありませんが、《松鶴図屏風》もそのひとつ。針葉が放射状に描かれた松は“車輪松”と呼ばれます。
「松竹梅を身につける」は、祝いの席で身に着けられる衣装に用いられた松竹梅。豪華な振袖や小袖のほか、刀剣を飾る金具に取り入れられた松竹梅もあります。
「松竹梅で祝う」は、器に描かれた松竹梅。婚礼や節句など、おめでたい席に松竹梅は欠かせません。洗練されたデザインの中に、健康と長寿への願いが込められています。
展示室1の「松竹梅 新年を寿ぐ吉祥のデザイン」展覧会は「松竹梅」ですが、展示室の冒頭は「申年にちなんで」。今年の干支である猿があしらわれた作品が紹介されています。中には小柄に表現された極小の猿も。拡大鏡を覗いて超絶技巧をお楽しみください。
今年の根津美術館のカレンダーの表紙になっている《猿舞図》は、展示室6で展示。猿は魔が「さる」とされ、縁起が良い画題でもあります。愛らしい猿を描いたのは、葛飾北斎の門人である葛飾戴斗です。
冒頭の「申年にちなんで」テーマ展示は、展示室2で「華麗なる能装束」として、色糸や金糸を用いた豪華な能装束11点を展示。
展示室5は新春恒例となった「百椿図」。江戸時代の椿園芸ブームのなかで制作された百椿図は、花器に見立た様々な器物(中には「ちりとり」なども)も見ものです。
展示室6は「初月の茶会」。前述の《猿舞図》など干支にちなんだ作品のほか、歌会始のお題である「人」にまつわる茶道具、計23点です。
展示室2・5・6のテーマ展示[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年1月8日 ]